新居のオーディオルーム
以前から新しい部屋はなかなか良い音にならないとお話ししてきた。そして少し前の私は、早く良い音を鳴らそうと躍起になり、暫くは24時間、オーディオを鳴らしっぱなしにしていた。
しかし、深夜に人気(ひとけ)のない部屋で鳴り続ける音楽は、階下で聞いていてもやはり異様である。それに四台の巨大なノイズカットトランスは、人のいない間に何が起こるか分からない。特に近年は異常気象で雷が多い。
なので最近は、聞くとき以外は、電源を切る事にした。すると意外なのだが部屋の音が変わってきたのである。
今は、オーディオを鳴らす時間はあまり関係ないと思う様になってきた。聞くときは聞く、聞かないときは電源を切る、しかし真剣に聞くときは、最低でも聞く一時間前から鳴らしておいてから聞いた方が良い。そのメリハリが大切なのではないかと思う様になった。
ウエスタンスピリッツの家屋は木造である。つまり音楽に都合良く部屋が馴染むのではなく、木はどんな留め方をされても、自然となりたい形になってゆくのである。つまり留めた柱や壁があちこち微妙に緩んでくる。
最近、気温も下がり涼しくなり、空気も乾燥してきて木材が引き締まり、膨張が緩やかになったのではと思った。
柱の角材や壁材は釘で打たれている。しかし、それらが僅かずつ緩んで来ると考えられる。新居の中で鳴らしてきたオーディオの音は刺がなくなり広がりを伴い、優しくなってきたのである。
聞いていても窓を開けたように、以前よりは楽になってきたと言ったら分かりやすいのか。
今思う、何故もっとおおらかな気持ちで待てなかったのだろうかと。一部の人を除き、一生の内に何回も家を建て替える事はない。
どんな家でも多分、建てて一年は悪あがきしない事である。
この家を建てたビルダーさんが話していた。家は住んでる人がしっくり来るまでに、最低でも一年はかかると。
いや、もっとかかるかなと…