[ お知らせ ]
この記事は、2018年11月7日に、FC2ブログからこちらのサイト(https://we-spirits.jp)へ
移転したものです。

ウエスタンラインケーブル復活


数が少なくなったので一度は作るのを止めていた。以前からお話に出てくるウエスタン0.6㎜単線ワイアーである。はじめて写真を公開する。

写真の上に写ってる黒い方がカーボン被膜の素線の映像である。後から作ったものではない、ウエスタンワイアーとして確かに存在した古いワイアーである。どうだろう、見たことのある方はまずいない筈である。被膜の艶が他の被膜とは全く違い鈍く重厚である。

このカーボン被膜は剥離剤で剥離出来る。剥離するとはじめて本体が銀メッキ線だと分かった。それが下に写っている実際に剥離したシルバーの線で、スズメッキ線ではない。

その証拠に少し放置すると黒くなってくる、スズメッキ線ならば、シルバーの部分をカッターで剥がせないが、銀メッキはカッターで簡単に剥がす事が出来る。

ウエスタンスピリッツは、この素線をマイクロコンパウンドで更に何度も磨き、エタノールで数回脱脂してから、ケイグ(接点復活剤)を塗って酸化を防ぎ、ホットに四本捩って使っている。リッツ線程ではないが、レンジが広く強く芯のある品位の高いガッツのある音が聞ける。

正直、今でもリッツ線の音と甲乙つけがたい。よくお客様でこれと同じワイアーをやっと見つけたと言ってくる方がいらっしゃる。

ではと送っていただくと、見た目は似ているが、単なる黒いエナメルで素線がヘナヘナで、被膜も違い、どれも全く違うワイアーなのである。

どれも銀メッキでなく、スズメッキである。スズメッキの音は潤いと元気がなくうるさく暗い。

この銀メッキ線は、滑らかで、音が落ち着いていて、明るくならず爽やかな開放的な音になる。人気があった、しかし一旦リッツ線に方向転換したのだが、また思い改め、製造を始めた。

もう一言、先の写真にあるウエスタンオリジナルのカーボン被膜のままでは良い音にはならない。何度作ってみても答えはカーボン被膜を剥離した方に軍配があがった。検証したのは六年前である。そして今回も比べて同じ結果だった。

これはウエスタンスピリッツだけの検証にとどまらず。六年前に実にたくさんのお客様が実際に聞かれ、そのアンケート結果で分かった。そして私自身も何度も聞いて、カーボン被膜を剥離した方が良いと答えを出したのである。

そして、このワイアーには更に、薄い絹帯と、分厚い綿の柄のある帯が巻いてあったのである。ワックスを塗ってありべたべたでかなり汚かった。そして、外被は編んであった。新しいウエスタン単線の被膜は筒状になっている、しかしこの時代のワイアーは、平たく編んである細い帯状のものを巻き付けてあった。

今回公開しようと被膜の巻かれているオリジナルワイアーを探したが、引っ越しの時にどこかに行ってしまい、見つからなかった。部屋のどこかにあるが、今回一緒に写真に載せたかったが残念である。

ウエスタンスピリッツに残っている在庫では、後50ペアとは製造出来ないと思う。

個人的にこのワイアーを「シルバー」とよんでいる。自分が仕入れた後、二度と見つける事は出来なかったワイアーの一つである。

被膜の被った重さで一キロ単位で五キロ購入したが、結構な値段だった。

そして音質も0.6㎜単線の中では遥かに飛び抜けている。被膜をほどいた素線の段階で、かなりの弾力があり、バネの様にしなやかで固いのがこのワイアーの特長である。

しかし、新開発したリッツ線は、このワイアーで作ったケーブルに負けてはいない。

ウエスタンワイアーであれば、何でも音が良いのではない。この素線は、数あるウエスタンワイアーの中でも、選りすぐられた素線と言えよう。

もう絶対に出てくる事はないだろう。今回のリッツ線と比べて、どこに使うかで真逆な音質を持つ。またその逆もある。

今製作中である、こちらもリッツ線と合わせてモニター応募を募る予定である。出来上がりしだい公開する、こうご期待。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です