マルチシステム
ウエタンスピリッツは、スリーウェイオールマルチシステムです。
何故スリーウェイなのか?ですが、単刀直入に話すと、複数のスピーカーユニットで構成される、独自なスピーカーシステム。
私はフォーウェイマルチシステムまでやった事がありますが、総てのユニットを同期させるのは無理がある。
そう結論づけています、中にはいまだにフォーウェイマルチを薦められる方もいらっしゃいますが、スリーウェイが限界と思います。
確かに理論は分かります、それぞれのユニットの受け持ち帯域を少なくし、余計な分割振動を減らせる、との理論ですが。
実際に組んで鳴らしてみると、たえず音に不満があります、ではとツーウェイにしてみたところ、音の重心の低い太い音になりました。
しかし4560BKに130A、その上は2345ホーンにLE85だっのです、軽く暗いセピアカラーの音でした。
そして色々な型番のツィーターを追加してみました、この経験は今となって考えてみると、とても貴重な事でした、ツィーターを繋ぐことにより、ウーハーやドライバーの暴れが抑えられ、帯域バランスが整い、低域が引き締まり、更に低い音階を再生するようになる。
そして途中、自作LCネットワークの蟻地獄にはまりました。
そのネットワークは数年で妥協なく完成させる事が出来ました、しかしその自作ネットワークで私は帯域バランスの大切さを知り、掴む事が出来ました。
つまり鳴っていないときの、0の音の大切さを理解出来ました。
かなり時間がかかりました、LCネットワークでも帯域バランスがとれ、しっかり鳴る、そしてパワーアンプは一台で鳴らせる「下手なマルチシステムよりじゅうぶんに鳴っている何故?」と思った。
では過去に失敗したマルチシステムは、なぜ失敗だったのか考えた、ネットワークは一台のパワーアンプで難なく鳴る。
と言う事はマルチシステムとはプリアンプ、チャンネルデバイダー、そして総ての帯域を受け持つパワーアンプが、同じメーカーの同じ型番で揃ってなくてはならない事を知った。
そしてそのマルチシステム総てを製造していただける、優れた設計製造者を探していて、イシノラボへ辿り着いたのです。
イシノラボのアンプの設計製造者は、昔、山水のアンプの設計製造者である、山水は昔JBLを輸入していた、山水を退社後、会社に縛られることなくJBLを本当に鳴らすアンプを作ってみたかったそうです。
そして実際、設計製造者のリスニングルームへお邪魔し、イシノラボのアンプを聴かせていただき、こと細かに打ち合わせをして、マルチシステム総てを依頼したのです。
そのマルチシステムとは、ウエタンスピリッツオリジナルシステムなのです。
市販品も足を棒にして探し歩きましたが、イシノラボのような音のアンプはどこにも存在しなかったのです。
総て届いた日の感動は、もう文章になりません、LCネットワークで苦しんだ日々が、まるで嘘のように簡単に決まりました。
しかしLCネットワークと、マルチシステムの音とは、そんなに大きな差がある訳ではありません。
先ずは優れたLCネットワークを自作出来なければ、マルチシステムを細やかにオーダーする事は出来ないと思います、特にチャンネルデバイダーのオーダーはとても難しく、余程の経験を積まないとオーダーする事すら出来ないでしょう。
市販のチャンネルデバイダーでは、どんなに評判のものでも、所詮は人が決めて作った商品、どこかに絶えず不満が残ります。
そしてマルチシステムは、総てがコンセプトを持って、同じメーカーで揃えなくては、総てのユニットを同期させられないのは、当たり前の事なのです。
位相やレベル合わせ以前の音を皆さんは聴かれています、このお話はその遥か上のレベルで話しているのです、そんな苦労をしたくなければ、メーカー品のスピーカーシステムの方が上手く鳴ります。
マルチシステムは、どんなアンプを組み合わせても個人の腕で鳴らせる、私もそう思っていました、でも違います。
スピーカーシステムは、総てのユニットが完璧に同期して、はじめて美音を鳴らせる、とても厄介で実は理解すると、意外と簡単なものなのです。
極限に挑むなら、マルチシステムも確かに一つの選択肢ですが、マルチは個人の裁量で鳴らせる程簡単なものではありません。
先ずはパワーアンプを同じもので揃えなければなりません、そしてプリアンプやチャンネルデバイダーも同じメーカーの同じクラスで揃えてはじめて、そこからが地獄の一丁目なのです。
マルチシステムで優れた音を鳴らした人を私は殆ど知りません、なので私が挑みました。
ホームページのトップに、ウエスタンスピリッツの写真があります、レベル調整までは分かりませんが、総て揃えてラックやスピーカーの下もしっかりさせております。
マルチシステムの答えのようなものです、独特な音ではありません、穏やかでどんなジャンルでもしっかり鳴ります。
あのシステムでケーブルを検証して来ました、写真にはありませんが、小型のメーカー製スピーカーもあります。
マルチシステムは使いやすく分かると簡単ですが、分からないと未知の世界になってしまいます。