Ortofon CadenzaBlue
私はステレオ録音のレコードはCadenzaBLUEを聴いています、SPUの1973年ものも確かに素晴らしいが、なかなかいいものが見つからない、当時のSPUはつ一つ音にかなりの個体差があります、CadenzaBLUEは、SAECのWE-308SXとバランスしてかジャズもクラシックも端整に鳴ります。
どちらかと言えばクラシック寄りになりますが、それは合わせるターンテーブルやトーンアームの調整、そしてシステム全体のバランスにもよると思います、カンチレバーがルビーになっているため、エネルギーロスの少ない端整な音に感じます。
CadenzaMONOも自重も同じに揃っていて、針圧も同じ2.5グラムなので、ヘッドシェルとシェルリード線も揃えてカートリッヂの取り付け位置をシビアに合わせる事によりステレオモノラル差し換えて使える為、私はそうしていますがその微調整は正確さを要求されるため困難を極めました。
やはりステレオはステレオ針、モノラルはモノラル針で聴くのが常識ですが、私はモノラルはGEのバリレラが一番だと思います、しかしターンテーブルが一台しかないため取り付けの為に付けたり外したりするとその都度大変な思いをしています。
では何故バリレラが良いのか?針先の形状の違いだけではないのです、本当のモノラルレコードの音溝とはカンチレバーが左右の動きしかしないのです、それに対しステレオのカンチレバーは縦にも動きます、これでは本当のモノラル針とは言えないのです。
そしてCadenzaMONOはステレオ出力を電気的にモノラルにしているだけであり、本当のモノラルカートリッヂではないため、レンジは広いものの聴いた感じ音がバリレラに比べ薄いのです。
しかしバリレラを本当に鳴らそうとすると、今使ってるSAECのWE-308SXは縦感度横感動が良すぎて適正針圧が5~7グラムのバリレラには合わないのです。
なのでバリレラにバランスしたトーンアームはグレイやフェアチャイルドのようなゴツいものが必要になるのです、ターンテーブルもガラード301や401、トーレンス124のような小さなトルクを強い回転に変換出来るような、コギングの少ない力強いターンテーブルの音質を持ったターンテーブルが必要になるのです。
しかし日本のオーディオの歴史は浅く、その真実を正しく語れる店主も少なく、スペックありきの商品しか出来なかったと私は思っています、オーディオは少なくとも1950年代に終わっているのです、分かっていないお客様と店主の会話を聞いていて実感しました。
店主は上手にウエスタンが売れるように話がすり替わって行くのです、しかし『モノラルをもっと美味く鳴らしたい』これが一時帯域の狭いウエスタンが売れる原因の一つになった事実だと思います、ウエスタンの音は電気磁石の為、速く濃いのです。
そしてウエスタンは圧倒的にかっこいい、個人的に思いますがやはり家庭でその真実を聴くのは規模と金額からして無理があります、そこから発展したのが日本人独特なスペックありきのオーディオ、YLやエールやゴトウだと思います。
4ウェイから6ウェイは当たり前、たくさんのユニット一つ一つの受け持つ帯域をマルチ駆動で狭くして、バランスをとり上手く鳴らせれば天国が如きサウンドになる可能性はある、しかしたくさん聴かせていただいたが誰一人としてまともに鳴らす事も出来ず、永遠に彷徨い巨大化していく、そんなオールホーンシステムを私はたくさん見てきた。
そして思った『日本人は徹底的にスペックだけを追求する作り手と、それを求めるユーザーさんが多いと、あまり音楽を理解していない』と、つまり物凄いセンスを要求され一般的ではないのです。
それを心底理解したので私はJBL4560BKを軸としたスリーウェイオールホーンオールマルチで結果を出したのです、しかしこのシステムも実に大変で正に地獄を味わいました。
話は脱線しましたが、私の使用してるトーンアームは徹底的にスペックありきのSAECのWE-308SXですからCadenzaBLUEが美味くバランスしたのかも知れません、因みにターンテーブルはtechnicsSP-10Rです。
そこにOrtofon CadenzaBLUEは今のところベストマッチしております、このお話しから理解出来ますようにCadenzaBLUEを購入したとしてもウエスタンスピリッツのように上手く鳴るとは考えにくいのです、やはり鳴るにも鳴らないのにもしっかりした理由があるのです、私はスペックありきの日本の製品から素晴らしい音楽を鳴らしたかったのです。
SAECのWE-308SXは私にとってステレオ再生にはどうしても必要なトーンアームだったのですそして、CadenzaBLUEはとてもマッチしています。