スペック
オーディオはスペックも大切だとは思いますが、それだけで実際繋げて音が良いかどうかは分かりません。
今はあまり語られなくなりましたが、ダンピングファクターです、GASのアンプジラやCROWNのDC-300Aが有名です。
しかし実際繋げてみるとパワーアンプだけでは上手く鳴らず、GASはテァドラ、CROWNはIC‐150Aとセットにしないと上手く鳴りません。
それ以前に、ダンピングファクターはあまり関係ないと思います、真空管アンプなどで上手く鳴らされてる方によると、ダンピングファクターは50もあれば充分との事、私も実際GASもCROWNも双方使ってきて同じに思います。
ダンピングファクターが高いと、ウーハーに対する駆動力が高いと思えるでしょうが、そんな事はありません。
かといってダンピングファクターの低いアンプの音は、しまりがない訳ではないのです。
私はそのへん詳しくないので、使ってきて聴いた感じで語ります。
それよりもプリアンプの出力インピーダンスと、パワーアンプの入力インピーダンスが関係している気がします。
私が今まで使ってきて好きなアンプは、プリアンプの出力インピーダンスが600Ω、パワーアンプの入力インピーダンスが47KΩ位が多かったです。
つまりロー出しのハイ受けですが、これらはどちらかと言えば音が太く躍動的でジャズ向きだった気がします。
次にS/N比です、これほどあてにならない数値もないと思います。
カタログデータに明記されてる程耳では感じない気がします。
その数値が高い程、歪みが少なく、穏やかに私には聴こえます、しかしそれだけで音が良いかは判断出来ません。
それと一番大切なスペックは、メーカー品の完成されたスピーカーシステムを使われてる方はあまり関係ありませんが、ユニットを揃え自作されてる方は、ユニットそれぞれのインピーダンスと能率が問題になります。
インピーダンスはマルチには関係ないのですが、能率はそれぞれ違う能率のユニットを同期させなければならないので、最重要課題になります。
インピーダンスはLCネットワークを作るとき、計算式にあるように、部品定数を決めるにあたり最重要課題になります。
私は他のスピーカーユニットのインピーダンスが8Ωだったので、ドライバーのインピーダンスを間違えていて、えらい目にあった事が一度だけありました。
コンデンサーやコイルもインピーダンスを間違えると、カットオフ周波数がずれてえらい事になります。
それとユニットの能率です、JBLやアルテックをはじめ、フォステクスやコーラルならばしっかりしています。
しかし揃っていない日本の高級ユニットメーカーが存在しますのでご注意を、使われてるファンが多いので社名は伏せますが、高いだけで酷いものです、なかなか総てのユニットが同期しません。
とにかく大切なインピーダンスや能率等も確かにありますが、アンプ等はあまりスペックを気にせず、しっかり聴いて耳で選んだ方がいいと思います。
しかし優れた機材は星の数ほどあるように見えますが、実はほんの一握りだと思います。
私はエソテリックのCDPK‐01XとマスタークロックジェネレーターG‐01を手放し、エモーティバのCDPに交換し、日本のオーディオが何故衰退したのか分かった気がします。
この件に関し、誰とも論ずるつもりはありません。
使えば分かる事ですから、頭で考えず先ずは試してみる事です。
試しもしないで色々話される方を私は好みません。
スペックもまた同じ事です。
「私は高級な機材を使っているから大丈夫」ではなく、たくさんの人に聴いていただき、音が本当に良いか、それが問題なのです。
そして人に聴いていただき、もしもご指摘があった時、それを素直に聞き入れ、それを改善していく努力をする事です。
中には変な事を言う方もおりますが、人のシステムを訳もなくけなし、嫌われたい訳ではないと思うからです。
そしてお聴かせする方を選ぶ事も大切です、何十万円のシステムの音はそれなり、一千万円のシステムからは一千万円の音がする、そんな変なマニアの意見はあまり参考にならないと言う事です。
高級なシステムを所狭しと並べ音の悪い方、安価なシステムをセンス良く揃え、経験と努力を重ね素晴らしい音楽を鳴らされた方。
私は後者に軍配があがると思います、信じられない程高級なシステムを使ってる方をたくさん見てきました、そしてそのような方のシステムをたくさん聴いて来ました、しかし私が唸ったのは日本でたった一人でした。
その方はたくさんのシステムを所有しながらも、そのシステム総てを呆れる程上手く鳴らされています。
そして絶えず日夜、仕事をされながらも、いまだに色々努力をされています、その方は今はジャズに照準を合わせ、ご自分の感性を信じ、七十歳になられた今でも努力されています。
オーディオが簡単に鳴らない事を心底理解されています、変な方に色々けなされ嫌になった頃、私と知り合ったのです。
当然、私も似たようなものなので話は合います、オーディオは間違いなくセンスと経験を持って揃え使いこなす事が出来たなら、あなたの感性に合った音にする事が出来ます。
決して値段や上辺だけのスペックでオーディオは語れない、オーディオは明日を生き抜く力と希望、そして素敵な音楽を聴くためにあるのです。