バイワイヤー接続
まず今回のケーブルは特殊なケーブルであり、お客様からオーダーされ作ったもの、試しに繋いで聴いてみたのです、リスクがあるので、ウエスタンスピリッツの商品としては販売しておりません。
ネットでは賛否両論あります、繋いだスピーカーはB&WのMATRIX805Vです、今となっては古いですが、バイワイヤー接続対応機種です。
約三十年前に正に私はこのスピーカーを販売していました、ナカミチからマランツへ代理店が変わり、ハイエンドの走りだった気がします。
お客様のアンプはプリメインではないので、出力端子のA、B、A+Bがないため、二セットのケーブルをアンプの出力端子の所で捻りあわせ半田で留め作りました。
これも立派なバイワイヤー接続です。
想像どおりと言おうか、やはりヨーロッパサウンド、伝統的に中域は少し薄いものの、そこがクラシックを上手く鳴らす為の秘策。
ここが生真面目な日本のスピーカーとは違うところ、引っ込むのでなく、全体的にオーケストラが後ろへ下がり、うまい具合にホールの響きと共にのびのびしているが、うるさくならず聴こえ見事です。
これはバイワイヤー接続前にはなかった鳴り方で、やはり2ランク3ランク音は良くなりました。
それにしてもユーザーのアンケートの影響なのか何なのか分からないですが、わざわざバイワイヤー接続をやめてしまったメーカーもあると聞きます。
私は床屋さんのお店で、バイワイヤー接続を聴いてはじめてバイワイヤー接続の素晴らしさを認めました、ひょっとしたらウエスタンスピリッツのリッツ線ケーブルは、バイワイヤー接続向きなのかも知れない、そう思ったほど音は改善されました。
ウエスタンスピリッツはマルチシステムです、プリとパワーアンプの間にチャンネルデバイダーは入りますが、パワーアンプとスピーカーユニットの間には何にも入らない。
去年の暮れ、今のケーブルがマルチシステムに総て繋がった時、鳴り方が新たなリッツ線で作った為か、激変しました「もうこれで良いのでは」そう思った程でした。
そのリッツ線は、五月になった今でも、未だに毎日進化し続けています。
確かにこの様な変化を聴けるようになるまでに、総てをしっかりさせて来ての事になりますが。
話はバイワイヤー接続に戻します、バイワイヤー接続の変化を、をもっと分かりやすく書けば、帯域バランスの重心が下がり、穏やかな鳴り方に変化し、私が標準と定めたドイツグラモフォンが上手く鳴る。
特に弦や木管楽器の音が総じて素晴らしいが、驚いたのはチェロの音だった、滑らかな音がスピーカーを無視したかのようにストレスなく、軽々とポンッと空間に浮かび上がった事です。
「このチャーミングな音は、いかにマルチシステムのJBLと言えど鳴らせない」そう思い驚きました。
ウエスタンスピリッツは、バイワイヤー接続を認めざるを得ない。
そして余談になりますが、ウーハーもツィーターも全く同じスピリッツケーブルで、同じ長さで太さも作り方も揃っている所、これが肝心なのです。
そういえばスピリッツのマルチシステムも高、中、低音総て、神経質に同じ長さで、同じ太さのケーブルで揃えて作り配線されている。
答えが出たようなものですね、今までスピリッツ以外の色々なケーブルで、同じ条件下で何度もバイワイヤー接続を試みて来ましたが、良いと思った事は一度もありませんでした。
やはりしっかり計算し、耳でも検証しながら基礎からしっかり作って来たリッツ線は、良いケーブルが出来上がっていたのだと思います。
更に上を目指そうとしていますが、最近聴いてて、もう次なる発想が浮かばないのです、しかし少し狂った私の事、また何かを思い付くのかもしれません。
このケーブルを理解するには、繋ぐ方のシステムが、かなりのレベルに達してないと分からないのではと思います。
家内はこう言った「いい具合にまとまっている」でもこれは凄い事です、家内は私の努力は認めていますが、スピリッツのケーブルをここまで誉めた事はないのです。
しかし、今回製作したバイワイヤーケーブルは、作るのがとても大変でした。
普通のスピーカーケーブル二セットのバイワイヤー接続ならば、楽だったのですが。
そしてバイワイヤー接続を三日間聴いた後、再び元のJBLのマルチシステムへ戻しました。
全く別の世界を聴けました、それぞれにコンセプトや狙ってる音質が違うので当たり前です。
B&W805Vは、ユニットの振動板が軽く、そのためレスポンスに優れ、ユニットが少ないため正しい定位と、付帯音の少ない正しい音が聴ける。
JBL4560BKは、低音域がショートホーンになっている為、中低音にピークがあり分厚い、総じて再生帯域は狭いが、そこがジャズのビッグバンドや交響曲等を聴いた時、圧倒的な鳴り方をする。
両者全く譲らずどちらも素晴らしい、B&W805Vは、バロックや女性ヴォーカルを、JBLはジャズのビッグバンドや交響曲を聴くと楽しい。
全く違う味わいを聴けた、しかしどちらも左右のケーブルは総て同じケーブルで、神経質に総ての長さや太さを揃えている。
低音域はエネルギーが大きいので太いケーブルを、中音域はそれより少し細く、高音域はエネルギーが少ないので細いケーブルで、これが間違いの元。
長さもケーブルを綺麗に配線したいのでバラバラ、これではユニットどうしが同期する筈がない、ユニットどうしの能率合わせ以前のお話になってしまう。
対策としてケーブルは総て同じものを、長さは総て長い方に蛇行させてでも神経質に合わせる、そして長い方のケーブルは、コイルのように巻いてはいけない。
これをウエスタンスピリッツは必ず守って来ました、普段からしっかり配線させる事が、今回の試聴結果になっている事を申し添えたい。
バイワイヤー接続は確かに優れていた、この差を理解出来なければ、多分オーディオは出来ない、バイワイヤー接続はプラシーボ効果ではない。
バイワイヤー接続にしてその差が分からないのであれば、システムが鳴っていないか、変てこなケーブルを使われてるか、妙な接続をしてるからではないだろうか。
小さな差ではない、とても大きな差でした。