お膳立て
以前から何度も書いてきた内容ですが、ここから読まれる方もいらっしゃるかもしれない、そう思い書きました。
オーディオの音は所詮は録音されたものなのでこんなものだ、生のコンサートにかなう訳がない。
私もそう思っていました、確かに一理あります、でも実はレコードやCDや昨今のネットオーディオは、かなりの情報量があるのです。
しかしオーディオはもうそこそこの答えが出ています、機材をしっかりしたラックに据えたり、柔な床を補強したりする事が大切なのです。
答えが出ている筈の立派な機材が、正常動作出来ていないと思えるからです。
私もこの事に気がつくまでかなりの時間がかかりました。
いくら音量を小さくして聴いても、スピーカーからの震動が機材に伝わり悪さをしているからです。
確かにボリュームを絞ると耳ではあまり感じなくなりますが、それでも同じ割合で、震動は床やラックから伝わり、やはり機材の音を汚しているのです。
またこの差を理解出来るかどうかも大切です、メーカーは出来る限り機材本体で対処しようとしてくれていますが、やはり限界があります。
話は少し変わりますが、メーカーの設計者は話します「メーカーに勤務していると、そのメーカーのカラーや方針や予算やデザインもあり、本当に作りたいものを作れない」確かにそう思います、メーカーは音のいいものを作ろうとしてる以前に、やはり会社存続の為に、売れなくてはなりません、そして利益を追求するために新製品と言いながらコストを削減し、使う部品の質を落として行くのです。
いいものを設計する方より、利益率を上げ販売に繋がる設計者を求めるのが経営者です、でもそれは仕方のないこととは言っても、やはり少し違うと思います、なのでこちらも機材を迎え入れる努力が必要になります。
話は戻ります、スピーカーから機材に伝わる震動は、機材本来の能力を低下させています。
論より証拠、総てを私なりに実際に試してみたからです、スピーカーの下に10㎝の厚さのタモの木を敷いてみたり。
オーディオラックもしっかりしたものを作ってみたりしました、部屋を含めた電源もしっかりさせる事も大切です、結果オーディオの音は劇的に進歩しました。
話は少しそれますが、ヤマハのレコードプレーヤーGT750を使っていた時、キャビネットがあまりに貧弱に感じたので、チーク材の分厚い板でキャビネットを作り、GT750の本体をそっくり載せ換えた事がありました。
しかし電源トランスが同じキャビネットに留めてあったのです、ターンテーブルを回した状態でキャビネットに耳を当て聴いてみると、明らかに電源トランスの唸る音が聞こえました。
そしてターンテーブルを回さない状態でレコードを置き、そこにカートリッヂをのせてアンプのボリュームを上げてみました。
電源トランスの唸りは、スピーカーからも聞こえました。
対策として、キャビネットから電源トランスを外し、少し離れたしっかりしたところに電源トランスを設置し、同じようにターンテーブルを回転させた時、回転させずにカートリッヂをのせた時、電源トランスの音は全く聞こえなくなりました。
結果アナログの音は飛躍的に改善されたのです、ヤマハのGT750はプラッターや軸受けなど肝心な所はしっかりしています。
しかしMDFボードのキャビネット、そして本体のボードに留めてある電源トランスの唸りが、音の品位を下げていたのです。
これが当時のメーカーの59800円戦争で、安易に販売する目的だったのでしょう、設計者は分かって作っていたと思います。
これは改造ですが、私は改善や使いこなしだと思います、そしてここに着目し気付き、対処出来るだけの経験とセンスだと思います。
そしてこの音を暫く聴いて自分なりの判断をしてから、一旦ラックや機材を総て外し、ラックの下に厚手の低反発のバスマットを敷いたのです。
まだスピーカーからの震動の影響ありと睨んだからです。
特にアナログ再生に必要なハウリングマージンを稼ぐため、そして他の機材にも少しでも震動を伝えづらくする為です。
ウエスタンスピリッツのラックにキャスターはついていません、キャスターは大きな重いものを軽く動かせる利便性はありますが、やはりその構造から、エネルギーロスを起こし、音を濁すからです。
低反発バスマットの効果は素晴らしいものがありました、そして理由を考えました 。
バスマットは床に対しベタに設置します、ラックはその上にベタに設置します、イコールベタとベタで重なる事により、ニトンの重量級ラックは、重さが分散し、グラグラせず安定し、しっかり支えられます。
そして低反発、音は劇的に改善されました、これら総ての改善を理解するには、やはり順序を間違いなく重ねる事です。
一気にやってしまっては、どこがどう良くて、何故改善されたのかが分からなくなります、総て経験で、分からない方にもそのメカニズムを伝える事が出来るようになります。
何故?どうして?考え正しい答えを探していると、見えて来ます、何故鳴るのか?何故鳴らないのかが。
いくら機材だけをとっかえひっかえやっていても、永遠、答えは何処にもないでしょう。
ウエスタンスピリッツはそこに気がつき、今でも日々もっと鳴らす方法はないものかと常に考えております。
ソフトには実に膨大な情報量が記録されています、その素敵な情報をあますことなく、歪めず再生したかったのです。
そしてここまでがまさにオーディオの入り口でした、鳴らす基本です、そして優れた機材をそろえていったのです、下地がしっかりしているので、機材の能力の差もはっきりスピーカーから鳴ります。
この状態で検証したケーブル作りも全く同じです、はっきり作り方の差を鳴らします。
それにしても今の家が新居だった頃から数えてまる六年、次から次へと下地を作る事に費やした時間は、決して無駄ではなかったと思えます、そして今の私の動かぬ自信に繋がっています。
メーカーが作って販売している機材は、ある程度完成されていますが、優れた機材を使うには、その性能を最大限引き出す努力も必要になると思います。
車と同じです、いくら高級車を購入しても、乗りこなすのは運転する方の技術しだいです。
オーディオも同じです、優れた機材程、使う方の技量が試されると思います。