JBL4560BKよ永遠に
私はギター少年だった。オーディオとの出会いは、確かに一番多感な時期に鶴見で聞かせていただいたJBL4343Bだったのだが。
新宿のディスコで初めて見たJBL4560BKだった。音は酷かったが一瞬で一目惚れしたのである。
ズバリこの神秘的なフォルムが何とも好きなのである。しかし私は何度も他のスピーカーに浮気を繰り返したのだが、結局4560に戻ってしまうのである。
しかし、このボックスは普通のボックスのようにクリアーで低い音階を鳴らすのがとても難しい。
その理想の音を4560で鳴らせる様になった今、更に堪らなくいとおしいのである。気持ち悪いのかも知れないが、見てるだけで幸せである。
このボックスはJBLのカタログでは、60Hz~800Hz迄を再生と明記されている。
若い私は、このボックスは60Hz迄しか再生出来ないから低音が鳴らないのだと思い込んでいた、みなさんも同様だろう。
しかし、それは間違えている。60Hzの音とは本当は風の様な体で感じる音階の事なのである。
今まで低音と思っていた音階は、250Hz辺りを軸とした100Hz近辺の音が殆どで、実は本当の低音ではないのが分かった。
若い頃グラフィックイコライザーが流行った、その表記されてる周波数が間違えている、と言うか誤魔化しだったのである。
本当の60Hzの単音を再生してみてもらいたい、アナログならばあまり上手くカートリッヂがトレース出来ない筈である。
なのでレコードを販売する前にカッティング屋さんの検盤と言う行程を経て、ヘボなシステムでも上手く鳴る様に低い音階をカットしているのである。
すなわち皆さんが重低音と勘違いされてる音階は、せいぜい120Hz近辺であり、それさえまともに再生されてないスピーカーが殆どで、それが現状なのである。
本当の低い音階とはスピーカーから鳴っているとは思えない程の無指向性で、スピーカーボックスの外で形成されたかの様な、引き締まった素敵な音階の事なのである。
なのでウェスタンスピリッツは、4560BKの60Hzをやっと鳴らすことが出来たに過ぎない。
私は何にも分からないでオーディオをやってる訳ではない。たくさんの鳴らない高級オーディオをたくさん聞かせていただいて、殆どのシステムは本当の100Hzさえまともに鳴らせてない事に気が付いた。
貴方が重低音と思って聞いてる低音は、ウーハーの分割振動、つまり付帯音であり、間違いなくお化け低音である。しかし、そこまですら殆どのシステムでは鳴っていない。
引き締まらない異様なお化け低音は一流ホールでは聞こえない。しかしクラシックコンサートの優れた楽器が鳴らすコントラバスの低音は凄い!の一言である。
しかし、その素敵な音階は録音されていないと思う。ウェスタンスピリッツのJBL4560BKはかなり酷似して色濃く鳴る様には鳴ったが、まだまだほど遠いと言わざるを得ない。
しかし、私はJBL4560BKの神秘的で独特なフォルムが格好良いと思い音色も大好きである。