コーラルAH-500
いくら機材のポテンシャルだけではないとは言っても、中には絶対的なものも存在します、そして機材によって合う合わないは確かにあります、このホーンはウエスタンスピリッツのスピーカーシステムだったから色々な要素が重なり、抜群の効果を発揮したのかも知れないが、そこにはしっかりした事実と理論が重なった結果であった事を申し添えておきます、全てにおいて完璧な物は何処にもありません。
ウエスタンスピリッツのスピーカーシステムのホーンはコーラルAH-500です、数々のホーンの中から選び使っています。
こういったお話しだった、コーラルのAH-500はJBLのLE85がスロートアダプターなしでそのまま取り付け可能、しかも取り付けネジのサイズも穴の位置もJBLと同じ、しかもホーンのカットオフ周波数が250Hz『嘘だろう?』と思った、しかしハイファイステレオガイドで調べてみると確かにそのとおりだった。
私はその前にアルテックの311-90をスロートアダプターを使い取り付け穴もJBLに合わせ作っていただき使ったが、作っていただいたスロートアダプターが いただけなかったのだろう、やはり音が薄くて駄目だった、やはり1インチは1インチ、2インチは2インチしか付けてはいけないと思った経緯がある、ホーンは安易に素人考えで数字合わせだけで取り付けただけでは、設計された数値がずれて本来の性能を潰してしまう、私は随分その様な物を見てきたし話しも聞いてきた。
更に色々調べていくと、コーラルはJBL LE85を何故音が良いのかを研究していたらしいのである、私のドライバーは正にLE85である、それは何故か?375よりダイアフラムが小さく故にレスポンスに優れ付帯音が少なく個人的に良いと思っていたからである、そしてコーラルは確かにM-100を発売している、こちらも確かに名機のドライバーである。
そしてウエスタンスピリッツのウーハーボックスはJBL4560BKである、しかもウエスタンスピリッツは800Hzでウーハーとクロスさせている、どうやらこの辺りが味噌のようである。
その頃、私はネットワークで苦しんでいた、ネットワークやマルチは教科書の図どおりに綺麗にカットオフされてる訳でなく、けっこうだらさがりにカットされている事は分かっていた、そこが盲点で今回の狙い目かも知れないそう思った。
4560BKはホーンの効果で250Hzから800Hz迄能率が改善される事になっている、と言う事は800Hzから250Hz迄少し被る事になるがやってみる価値はありそうだ、私の勘がそう言ってる気がした。
そして購入して繋いで聴いてみた『おおっ!これは良い!音が重厚になった』そう思った、今迄試したホーンはどれも音が薄く低域は弾まなかった、それはホーンのカットオフ周波数が400Hz辺りでカットされたものだったからだとやっと気が付いた、しかし気になっていた被ったような音は未だに感じない。
コーラル社は経験からそこに気が付いていたのだと思う、後から気付いたのは、AH-500は特種な砂(今はもう採掘不能)を固めたものでホーンをデッドニングしてあった、これもこの音質に一役かっているのかも知れない。
今迄散々騙されて来たから今回もまたガセネタかと思っていたが全くそんな事はなかった、そして鳴るはずのない音階(低い低域)が遂に鳴り出した、これはホーンとの繋がりにより帯域バランスが改善されたからだと思った。
そして思った、誰もここまでは分かっていないだろうと、ホーンのカットオフ周波数が250Hz迄あるホーンを使い、あえて800Hzでカットする、この使い方には明らかなセオリーのようなものがあった、これ以降、私はずっとコーラルAH-500を使っている。
良い商品を作っていたコーラルが廃業に追い込まれ、大した商品を作れないフォステクスは生き残っている、オーディオ評論家の長岡鉄男はお金を出すフォステクスばかり薦めていた、コーラルは商品に自信を持っていたのでオーディオ評論家にお金を使わなかった。
そしてコーラル社は遂に廃業し消滅してしまった、オーディオとは誠におかしな世界です、余談になりますが、私は長岡鉄男が好きではなかった、彼は一人で秋葉原を歩いてる時に、とあるお店の方に石をぶつけられた事があったらしい、コーラルが大好きな方だったと後に聞いた。
昔、長岡鉄男さんの部屋(確かノアの方舟とか言う変わった部屋だった)生意気だった私は反論しそこで熱い珈琲をぶっかけられた事もあった(笑)
私は今でもコーラルがなくなったのは誠に残念だと個人的に思う、コーラルは実に優れたスピーカーをたくさん作っていた、私のオーディオのスタートもコーラルX-7(69800円)だったと思う。
素晴らしいホーンだと思う。