ウエスタンスピリッツは何にも変わらない
元々の考え方が『オーディオである以上大切なのは音でしょう!』秋葉原に勤務していた時から私はお客様にそうお伝えしてきた、当時の私に接客を受けた方もいるのでは?とにかく私はいつも売り上げはその店のトップだった、そして自分が販売した商品に自信とプライドをもっていた。
お客様の話の内容やどんなジャンルを好んで聴くのか?そして買い換える理由や考えを聞いて本当にお客様が求める商品を考え、薦める機材を選んで差し上げる、そして販売した機材の取り付けに行く、とにかく私はビックマウスで生意気だったと思う、ただ良い音を売りたかった。
JBL、アルテック、B&W等をよく販売していました、そしてCDPはマランツ、フィリップス、EMT等を販売していました、ところがアナログやアンプは私がいた時代あまり優れたものがなかったのです、ちょうどCDPへの変換期だったのですが、その頃お店にあったNikko電子のセパレートアンプを聴いた時は驚きました。
熱いセンスの良い音でした、『もしもこのアンプを自分のJBLに繋いだら』そんな印象だったのです、それまでまあまあだと思っていた山水のアンプが頭の中から完全に消えてしまったのですが、購入出来るようになった時、Nikko電子はもう跡形もなく消えていたのです、その頃大阪ケーブルもなくなっていました。
そしてtechnics SP-10MK2もSH-10B3もナショナルのセールスマンに頼み日本中探してもらいましたが、何処にもありませんでした、その頃オーディオテクニカがロクサンのザークシーズの輸入を始めたのです、当然購入しましたが素人が使いこなせる簡単なレベルのターンテーブルではありませんでした。
それでも私は足掻きました、次は事もあろうにリンのソンデックLP-12をSMEのシリーズ5と併せて購入しました、LP-12はザークシーズどころの話ではありません、更にセッティングがシビアで難しいのです、三年ほど格闘しましたが使いこなせなかったのです。
諦めて再びtechnics SP-10MK2にレッドコンソールのLAB-1BとFR-64Sが付いたものを中古で購入しました、アームがダイナミックバランスで使いやすかったのですが、レッドコンソールの響きのない音がどうしても人工的で気に入らなかった。
暫く使った後突如ガラード301に目覚めたのです、今迄に聴いた事がなかったしっかりした骨太の音質に耳が釘付けになり、オルトフォンのトーンアームRF-297にカートリッヂオルトフォンSPUマイスターAEを取り付け聴いていました、この頃ガラード301や401を何台も使いました十台は超えたと思います。
時を同じくしてその頃マイバブルが崩壊しお金が無くなりました、その頃私はずっと使ってきJBL4560BKAを手放しアナログも全ていったん手放しました、そんな時師匠となる方と東京近郊のビンテージオーディオショップで知り合いました、その方はウエスタンで有名な研究家でした、その方が作ってくれたケーブルがあまりにも素晴らしかったです。
私は師匠に伺いをたて絹巻きケーブルを作りはじめました、しかし簡単に師匠を超えられる訳がないのです、そして何年か作り続けたある日『ケーブルはお前に任せた、お前はウエスタンにとらわれる事なく自由に自分の世界を開拓しろ、そして俺の元から羽ばたけ!そして、定位力のあるケーブルを作れ!』と言われたのでした。
つまり承認と同時に弟子解任です、そして私は色々な情報を集めリッツ線が最高と決めたのでした、そして今に至ります、決定的になったのが去年の11月の始めに十年苦しんだ今のリッツ線が出来上がった事です。
とにかく私は良い音を売る事だけを生業にしたかったのです、このような経緯から私がケーブル屋さんになったのは当然と言えば当然だったのです、そしてオーディオを上手く鳴らすピカ一のケーブルを作るには、先ずこちらがピカ一の美音を鳴らせてなければピカ一のケーブルなど作れる筈がない、との考えで色々改善してきたら全体が見晴らせ、色々オーディオに詳しくなった、そう話したら分かりやすいと思います。
そしてそのオーディオの考え方から両親の介護や自分の健康の事などを通し、実に色々な事が繋がり分かってきました、私はオーディオと出会っていなかったらどのような人生だったのだろうか?ですからオーディオを大切に考えているのです『私にチャンスを与えてくれたオーディオ、そのオーディオに何か恩返しが出来ないものか』そう思ったのです、自分さえ良ければ人はどうなってもかまわない、私にはどうしてもそうは思えないのです。
今回私は買い換えたものを色々書きましたが、実際はもっともっとたくさん買い換えています、書いたものは本当に私が買い換えたものの氷山の一角です、散々買い換えを繰り返し、私はどれ程家内をないがしろにしたのだろう、それでも家内はいつも私を包んでくれた、結局リッツ線が完成したのは家内のおかげなのです、家内はどんなに家計が苦しくとも何にも言いませんでした、これからはケーブル作りに邁進し更に優れたケーブルを目指します、家内よ本当に貴方と一緒になって良かった、ありがとう。
更に努力を重ねていきます。
そしてこのブログを読まれた方は私のようになってほしくない、いくら高級品に買い換えても音は大して良くならない事を知って欲しい、そう言いたい、ものではなくオーディオを鳴らなくしているのは貴方の努力不足なのです、オーディオは完成されている、ならばそれらのポテンシャルを最大限引き出してあげる、そしてケーブルはやはりとても大切である。
しっかりしたケーブルはそれを貴方に教えてくれる、ウエスタンスピリッツのケーブルが優れていると言うより、世間のケーブルがあまりにも酷すぎるのだと私は思います、参考にしようと色々購入してみたがそのようなケーブルは何処にもありませんでした。
だからウエスタンスピリッツが基本を大切に作ったのです。
そして私は忘れない、何度もブログに書いてきた同じ歳の友が昔鳴らしていたヤマハのNS-1000の素晴らしい音を、くれぐれもNS-1000Mではない、NS-1000である、ボックスが黒檀で作られていてとても重かった。
二本のスピーカーが消える、彼は常日頃私に話した、正にそのとおりだった、それを聴いてから私は思った、タンノイオートグラフだから二本のスピーカーが消えた訳でないことを、そして真空管アンプだからでもないと、全てはその友のセッティング技術のなせる技であることを。
しかし私にはその技術はない、それを実際聴いてしまった私はもう誰とも話しが合わない、そして私の想像どおり誰もが勘違いしていった、二本のスピーカーの内振りセッティングである、彼の鳴らした音とは閉塞感のある耳を縛るような鳴り方ではない、開放的でありながらもスピーカーの存在は全くない、まるでオーディオを無視して部屋の空気だけが鳴っている、そんな感じだった。
それを聴いた時、部屋とオーディオの関係を悟った気がした、周りの音はハッキリ聞こえるその部屋は、まるで異次元のようだった、まるで彼のオーディオマジックにかかったかのようだった、今のウエスタンスピリッツのケーブルもその様な感覚に陥る、私は定位力を求めその様なケーブルを目指し作って来たのです。
ウエスタンスピリッツはそれを別の方向からケーブルで基本を忠実に作ったからだと思う、定位力のあるケーブル?『作れる筈がない』そう思っていた、しかし作る事が出来た、しかしそれ以前使っている方の努力も必要である、私はそう思う。
ウエスタンスピリッツのケーブルを是非一度聴いてみていただきたい、貴方の部屋にも異次元の空間が再現されるかも知れません、少なくともウエスタンスピリッツは、何処かのお店のようにセッティングだけのせいにはしません。
ずっとウエスタンスピリッツは、良い音を売りたかった、それだけなのです。