カートリッヂは慣らしに時間がかかる。
今回のお話しは新品のカートリッヂを購入した時の慣らしの事ではありません、いつもの事です。
使用してから丸一日使っていないカートリッヂは、鳴らしはじめて良い音になるまでLPを両面二枚、つまり四面かけないと本来の性能を発揮しない事が分かった。
今は暖かいが、寒い季節だと更に時間が必要である。しかし慣らす時間とは暖める為ではなく、一日で固まったダンパーやコイルを、動かし上手く動作させる事である。
昔から気が付いてはいたが、最近あまり気にしていなかった、そのたるんだ根性がいけなかったのである。お客様のご指摘で慣らす時間の大切さを改めて実感した。
私のカートリッヂは、DENON DL‐103とOrtofon SPUA/Eである。しかし慣らす時間はどんなカートリッヂでも同じだ。
特に慣らしはじめて一時間はどうにもこうにもならない音だ。いくら慣らしておいてもレコードから針を上げると30分程でまた駄目になってしまうが、止めて三時間以内位ならば復活は慣らしてないよりは多少早くなる。
特に冬の寒い部屋では、なかなかダンパーやコイルは馴染まない。季節による温度もカートリッヂには関係があると思う。
だからと言って昔誰かが話していたように、ドライヤーで熱風をあててカートリッヂを暖めてはいけない。ダンパーが硬化してしまう可能性があるからである。
大切なのは、やはり慣らす時間である。これがご理解いただけないと、アナログから優れた音を引き出すのは無理である。殆どの方はこの段階で既に駄目である。
しっかり慣らしておいたカートリッヂと、馴らしてないカートリッヂの音は天と地の差があるのである。それを発見したのは古くからお付き合いのあるお客様だった。
日本の拘りのないホールで聞いたコンサートと、メトロポリタンホールで聞いた位の差があったと真剣に話された。その時の表情を忘れられない。
特にクラシックは、録音レベルが高い為、それが完全に暴露されてしまう様である。
ジャズならばJBL4560で鳴らせば鳴ってしまうが、クラシックはホールの響きを聞くので、カートリッヂがしっかり慣らされていないと、繊細さが激減して音がこもってしまい、奥行きも広がりもなくなり、聞いていてつまらなくなるのである。
個人で聞いているならいざ知らず、お客様をお呼びする時は、出来る限りカートリッヂを慣らしておいた方が良い。
因みにアンプやCDは慣らす時間が、だいたい1時間位である。
ケーブルも含め、慣らす時間はとても大切と言いたい。とにかくオーディオは時間が必要である。
そして、常にコンセントの端末や端子を、常に出来る限り綺麗にしておく事である。しかし、端子の清掃はやり過ぎると稀に接点不良になることがあるので要注意。
そこがしっかりしていてスピーカーの下の床や、機材の下がしっかりしていたら、オーディオは間違いなく良い音になる。
でも簡単ではない、オーディオは、お腹がすいた時に食事をしたような訳にはいかない。総て結果が出るまで時間が必要である。