オーディオカートリッヂ
いわゆるアナログの針である。色んなタイプに分類出来るが、大まかにMMとMCが一般的である。
簡単に話すとMMは比較的安価で、針交換が容易で出力が高く、そのままフォノ端子に接続して使用できる。
それに対しMCは比較的高価で、針交換が出来ず本体ごと新品交換され、出力が小さい為、MCトランスかMCヘッドアンプが必要になる。
両者の音質の特長だが、MMは針圧が軽くハイコンプライアンスで、音は軽やかで頭の上を突き抜ける様な、高域に少しの癖がある。
それに対しMCは針圧が比較的重く、ローコンプライアンスで、音は甘さがなくクリアーで、重心が低くドッシリとした落ち着いた音が多い。しかしトランスかヘッドアンプを選ぶかで音は大きく変わる。
マイルドな音のトランスか、少し繊細な勢いのある感じのヘッドアンプを選択出来て、使用する範囲がかなり広がるのである。
両者は絶対に交わる事がない。私は、クリアーさを求めるが故に、完璧にヘッドアンプ派である。
MMの代表格はシュアーである、しかし針交換が安易に出来る様になっている為か、MCの様に落ち着いた音にはならず、高域に癖がある。
MCの代表格はオルトフォンやDENONである。DL‐103は確かに優れたカートリッヂだが、針先が丸針なので音飛びを起こすレコードがたまにあるのがいけないところである。しかし丸針の為、モノラルもそこそこに聞ける。
オルトフォンのSPU G A/Eは優れたカートリッヂだと思う。音に甘さがなく、ジャンルを選ばず安定して聞きやすい。
個人的にSPUをずっと愛用してきた。いついかなる時も良い音を癖なく鳴らしてくれるからである。他のメーカーのカートリッヂは、どこか癖を感じるので、結局SPUに逆戻りしてしまう。
しかしカートリッヂをまともに動作させるのは、これまた至難の技である。トーンアームの調整がこれ程難しいとは思ってもみなかった。
トーンアームの調整が上手くいってないと、まるでネットワークの調整がずれている様な鳴り方になることすらあるのである。
私はオルトフォンのSPUA/Eを使用している。本来オリジナルのトーンアームは、オルトフォンRF‐297であるが、最近中古で優れたものが見付からないので、オーディオテクニカのAT‐1005Ⅱを使用している。
当然そのままではAシェルは付かないので、普通のシェルにのせ換えて使っている。シンプルなトーンアームが故に、SPUの実力はかなりアップするのだが、調整がとても難しいのである。
RF‐297の優れたもの(ニコイチでない初期もの)があれば、調整はかなり簡単になるが、ないものは仕方がない。
私はいつもオーディオはものではないと話してきたが、カートリッヂに限ってはオルトフォンSPUGかA/Eを所有されたし。
1973~1978年代の本当に優れたものが手に入れば、はまる事間違いなし。未だに完璧なメンテをしていただける方もいらっしゃる。
もう他のカートリッヂは必要なくなると思う。