こちらの方がほんの少し良い気がする
ウエスタンスピリッツはこれを重ねて来たのである。その一つ一つの音質改善はその時には大した差ではないような気がする。
しかし、その小さな音質改善は、間違いなく正確に重なり合わさった時に、とんでもない差になって鳴るようになる。
以前はどうやってもかなわないと思って憧れた他人のシステムがあった。しかし何度か通う内に、その方の鳴らす音は色褪せて聞こえ、自分のシステムの方が優れて来た事に気が付いた。
当然その方をウエスタンスピリッツにご招待して聞いていただいた。そしてこう話された。今まで私は、何処のシステムと比べても、一度も負けたことはなかった、しかし今日はまいりました、と感想を話された。
そう、これがウエスタンスピリッツが目指したものなのである。
その方はガレージメーカーの真空管アンプの製作者である。正直市販のトランジスタアンプで、この様な音になるとは思ってもみなかったと話された。
「何をどうしたらこの鳴り方になったの?」と質問された。私は「分からない」とお答えした。ただ一つ言えるのは、端末の接点処理の仕方で接点を動かなくして、接点の数を少なくしたとお伝えした。
その方も散々オーディオをやって来ている、ただ唸っていらした。ではなぜ唸っていたのか?使用しているスピーカーユニットは、ホーンとツィーターを除き、殆どウエスタンスピリッツと同じだからである。
ただネットワークがかなり違う、彼のコンデンサはオイルコンなのである。コイルは鉄芯のタイプである。そしてホーンに後付け改造をしている。
ホーンの喉元に異様な事をされていた、ホーンのスロートが長くなれば、上手くロードがかからずバランスが崩れ、エネルギーロスを起こしていると私は考えている。
そのホーンの改造は、音に勢いをつける為と思うが、そこは確かに効果はあると思うが、エネルギーロスというマイナス面の方が強いと感じる。因みにその構造は自動車やバイクのマフラーの様な構造を応用したようなものである。
そして、真空管アンプの低音ノイズ(ハム)がとても大きい。
そしてかなり長いスピーカーケーブルの途中に位相をひっくり返す事が可能なスイッチが付いていた、それもエネルギーロスを起こしていると私は考える。
そしてウエスタンスピリッツは、エネルギーロスの少ない王道のリッツ線を研究して作り繋げている。
あえてその方のポリシーを考えて、失礼と思い、ウエスタンスピリッツの音質改善策はお伝えしなかったが、こうなったのにもちゃんとした根拠があるのである。
総ては正しい経験から来る技術とセンスである。その方のオーディオは未だにあそこにとどまっている筈である。なぜなら自分のオーディオは、既に完成してると強く思い込んでいるからである。
終わりと思ったらそこで終わりだ、ウエスタンスピリッツは、今のそこそこの音を鳴らしながらも、全く終わったとは思っていない。常にもっともっとである。
オーディオはそんなに甘くはない、こちらの方が少し良い気がする、日々この小さな音質改善のパズルの様な積み重ねである。
ウエスタンスピリッツの異次元のオーディオ構築は止まる事がない。
どうでも良いような小さな事を、少しずつ確実に積み重ねて行く、これがとても大切なのである。