濃い音
捩ったケーブルを使った時の様な、たくさんの楽器が分離せず、上下にのびないインチキな中域重視の音の事ではない。
帯域は広くすっきりしてるのに、存在感のある鳴り方の事である。もっと言えば、全帯域の音が濃いのである、そして音が早く良く弾んで切れが良くのびのびしている。今のウエスタンスピリッツサウンドはそんな表現がピッタリだ。
私は、腰の座った重心の低いしっかりしたハッタリのない音を目指してきた。一般的なJBLの音は明るく軽く音が薄い、特に中域が薄く感じて軽薄で聞いていられない。
そして、低音がボンつく、いわゆるボコボコサウンド。ウエスタンスピリッツのJBL4560BKはその様なだらしのない低音はなくなった、歪みが激減したのである。
そして、今までどんなに頑張ってもどうしても鳴らなかった、風の様な低いしっかりした低音が引き締まってさりげなく鳴る様になった。
真剣に聞いてないと分からない位低い低音である。その低音が鳴る様になってからであるが、音楽を聞きながら眠ると、とても気持ちが良いのである。
今まで退屈で聞けなかった一枚のレコードがあっという間に終わってしまうのである。
音楽を聞きながら眠るのは退屈だからではない、気持ち良いからついつい寝てしまうのである。
私はクラシックコンサートで、贅沢だが必ず寝てしまう、それと同じ事である。神経質な私が再生音に満足し、違和感なく音楽に浸り寝てしまう、これがたまらないのである。
聞こうと思えばしっかり聞ける、聞き流そうと思えば押し付けがましくないので聞き流せる、これはオーディオの理想である。
しかし、音は舞い上がった感じではなく、色濃く帯域は広く開放的である。ウエスタンスピリッツのシステムは遂に鳴ったと思った。
上手く鳴らないJBLとの対決は、まるで素手で大きなティラノサウルスと闘う様なものだった。
そのティラノサウルスが、やっと私になついてくれた、そんな感じである。
今のところ不満はない。それが私の不満なのである。しかし、これは私の病気なので仕方がない(笑)
来年更に次の扉を開けたい。さて、オーディオはどこまで鳴るのだろうか。