音質改善の閃き
閃きこそ我が人生、この言葉は私にぴったりである。何処かを改善しようとしたとする、なかなか根本的な原因が分からないものである。
そんな時、私はオーディオから頭を切り離し、外に出たり本を読んだりする。すると全く関係のない事から突然音質の改善策に繋がって来る。
歩きながら本を読みながら、オーディオの事をうっすら考え、前後関係と照らし合わせてるのだと思う、自分でもよく分からない。
優れた音質改善の方法は、全く違う方向から突然閃く事が多いのである。と言うよりは思い出す。それ以前に、私はオーディオの事をあまり理論的に考えていない。その方が理論的に正しい結果となる事が多い。
しかし、改善しようと、そこばかり見つめたり悩んだりしても正しい改善策は見つからない、おかしいところは別の原因で起こっている事が殆どである。
だから経験が必要だと何時も話して来たのである。人は間違える生き物、過去に必ず間違えているからである。
時には理解不能な位おかしな事をやっている。それには実験結果を細かくノートに書き記しておくことが大切なのである。
しかし、実験してる内に先に経験して正しかった筈の持論が180°引っくり返ってしまうことが多い。
なのでウエスタンスピリッツの実験結果がコロコロ変わってしまうのである。私と同じに真似をしたいならば、少し時間をおいて答えが出てからにした方が良いと思う。
私は必ず後に実験の答えを書いている。色々引っくり返るのは進歩しているからである。しかし、もう答えはほぼ出ている。
音の違和感を減らそうと努力したのがウエスタンスピリッツの音質改善である。単に音を良くしようと矢継ぎ早に闇雲に実験している訳ではないのである。
必ず過去からの前後関係と照らし合わせ、納得で行ってきた。だから普通の安易な音質改善の方法とは違うと思う。
私の通りに実験を行ってみても、その他がしっかりしていないと逆に音質を劣化させてしまう事もあり、総ては順序があると言う事である。
知らない内にウーハーや他のユニットの留めネジがゆるんでいたり、あちらこちらにセンスのないブチルゴムが付いていたりするものである。
人は間違える生き物である。そしてどんなに理論で固めても結果はむなしいものとなる。
私はこう思う。本当に良い音のオーディオは1980年代に完成しているのではないだろうか?と。
私はずっとJBLを使って来た。そして半ば諦めた時があった、それは何故か?自分のも含め、本当に上手く鳴っているJBLを聞いた事が一度もなかったからである。
つまり目標がなく先駆者もいなかったからである。でもある日ボケーっと歩いていた時、こう思った。
若い頃から思い描いている頭の中にある理想の音を自分が鳴らし、私が先駆者になってみたいと。
出来るか出来ないかその時は分からなかったが、何故か自信だけはあった。この大きな勘違いを私は現実に達成してしまった。
そうは言っても、ここまでの音にするには色んな人の考えやアドバイスを聞いた事は話す迄もないのだが。
その殆どはガセネタで、その中で何が本物か見極める必要がある。
私の場合、誠に恥ずかしながら、自分がお客様であった音やオーディオを色々伝授していた千葉のIさんが、知らない内に逆に私をある意味抜いていた事に気が付いた。
なのでいつも私は呟いて来たのである、理論より行動力で身に付けた経験が勝るのだと。
オーディオはホールや楽器を作る事と似ているのである。多分オーディオは既に完成していると思う。でもなかなか上手く現実の音の様に鳴ってくれない。
多分良い音は録られているのである。ならば配線をシンプルにしっかりさせて、スピーカーやラックや機材の下の床をしっかりさせろ、そして、二本のスピーカーのセッティングをしっかりさせろ、これだったのである。
そして、人間本来の脳の状態にするためにシューマン共鳴波(7.83Hz)を部屋に流せ。そして共振している壁や床や天井の共振を変化させ、スタジオやホールの様な音を作れ、なのである。
すなわち、誰もこの基本が出来てないので、何をやっても中途半端で良い結果に結びつかないのだと思う。これらがしっかりしていてもっと回路に詳しい方が、真剣に色々改造されたならもっと別の答えが出るかも知れないと思う。
私はある程度努力を重ねている内に、世間のオーディオはどれもその入り口にさえ辿り着いてないのに気が付いたのである。
少なくとも過去のウエスタンスピリッツはそうだった。そして瞬時に閃く、これがとても大切な事である。