リネン(麻)
リネンとは、麻糸の事です。病院で入院している時、看護師さんに、「今日は、リネンさんが来るよ」と言われました、シーツや枕や掛け布団の上に被せてる白い布の事だと理解出来ます。
気晴らしに院内を徘徊し、帰って来ると新しいものに取り換えられ、綺麗になっていました。
そして、医療機器は静電気を嫌うのだと思いました。寝ていて静電気でパチパチなるのも不愉快です。だから静電気のないリネンなのでしょう。
院内を歩きまわっていると、リネン室というのがありました。なぜだかいま迄その話が繋がりませんでした。しかし、キーワードは繋がりますよね。
少し前に、ずっと使って来た外被の絹糸を、まとめて購入しようと、お店に伺ってみると。
今まで使っていた、パピーのピュアシルクは、製造中止になり、もう製造予定もありませんと言われてしまいました。
非常に困りました。他のメーカーでも、太い絹糸はもうないとの事です。悩んでいてもないものは仕方がない。
他の素材を探していくと、良さげな麻のリネン糸があったのです。
麻は、極めて静電気がおきづらいのは、以前使って分かっていました。「色はブラックだし、これはケーブルの外被に良いかも知れない」そう思いました。
今回見つけたリネン糸は、以前使ったものとは全く違い、柔らかく強そうだったので購入してみたのです。
そして、体の空いた日に、統一している116㎝の長さで作ってみたのです。下地は今までどおり絹巻きです。今回のリネン糸は外被に使いました。
長年、作っていて分かるのですが、絹糸ほどスベスベしていないので、指に引っ掛かる為、リネンは、更に強く巻き付ける事が出来ます。
出来上がったケーブルを手に持って叩くと、ブルンッ!!とした付帯音が更に少ない音と弾力があります。「これは落ち着いた重心の低い音になるぞ」そう感じました。
絹糸独特の様な光沢はなく、デメリットは、少し表面が毛羽立ちます。しかし、つぶさに見れば見るほど、本物だけがもつ渋い硬派な凄みがあります。
初めて、ウエスタンエレクトリックのフルセットを見た時の様な、圧倒的で渋い感じ、それを強く感じました。この凄みは音に出ると思います。
良さそうです。
そして、半田をしてから72時間後、MCヘッドアンプからプリアンプの間に繋ぎ、聞いてみました。何とも言えず良い音です。神秘的で重厚で繊細、音が早いのにゆったり聞こえます。
これは多分ですが、スピード感とは音の切れの事で、それが早くないと、ゆったりした感じも鳴らないのではないでしょうか。
ゆったりした感じは奏者が弾いてる訳です。つまり、それがしっかり鳴った、そう感じます。
そして、今まで聞こえなかったトライアングルの音が、スピーカーからパラリと剥がれ奥行きを伴い、耳に最後まで先細りする事なく届きました。その音に違和感はなく、これは驚きでした。
リネンを巻くと、見た目は絹糸の様にツルンとしておらず、毛羽立つのですが、音はフォーカスが決まっていて、毛羽立ちません。これだけが心配でしたが安心しました。
そして、あれから更に72時間聞いて来ました。前回聞いた時より柔らかな印象と、音の分離が絹糸より優れてる気もします。次第に、情報量が更に増えて来ました。
そして、音が早いです。切れも良いです。付帯音は激減しました。
これならば、今の絹糸がなくなっても、もう大丈夫です。しかし、絹糸がなくなった時は焦りました。
物作りは、強く素材への拘りがあるのです。それは、ウエスタンスピリッツも同じです。
リネンで巻いた外被が本当に優れているかは、もう少し聞いてみないと分かりません。
これからも、どうぞ宜しくお願いします。