リッツ線の理論と実際の音質
簡単だと思っていたリッツ線の表皮効果。リッツ線はもともと、オーディオの為に考えられた理論ではありません。
もっと超高周波の為に設計された、スイッチング電源等のインピーダンス(抵抗)を表皮効果で下げようと編み出されたものです。
しかし、実際に計算して、リッツ線をオーディオケーブルとして、作って聞いてみると、理論とは少し異なる事に気付きました。
そして、リッツ線は高周波だけに限らず、全帯域に作用する事が分かりました。
リッツ線の表皮効果だけではありませんが、明らかにウエスタンスピリッツのオーディオシステムは、再生周波数が広がったのです。
私は、ウエスタンエレクトリックも含め0.6㎜ワイアーの音が良いと思い、狙いを定め、そこから研究していきました。
先ずは0.6㎜単線の表面積を求めます、1.884㎜です。そして、正当な答えを出すには、作るケーブルの長さを決めなければなりません。いつも違う長さでは、実験結果がバラバラになってしまうからです。
ウエスタンスピリッツのケーブル研究は、総て116㎝の長さに統一しております。
そして、色々研究する内に、知り合いのスイッチング電源の設計者から聞いた情報では、過去にリッツ線を作ってみた実験結果では、0.12㎜被膜単線以下の細さでは、素線の数を増やしていっても、高周波のインピーダンスに変化がなくなったとの事でした。
しかし、知り合いはオーディオではなく、超高周波での実験です。こちらはオーディオです、高周波ではありません。先ずは、同じ結果になるか色々な素線を、色々な太さで聞いてみなければなりません。
その結果、驚きなのですが、やはりオーディオでもその効果は同じでした。耳で聞いても0.12㎜被膜単線の音が細さの限界とわかったのです。
こうなれば電卓です。0.12㎜被膜単線を何本使えば同じ断面積になるのかです。その前に0.12㎜単線の表面積を求めます、0.3768㎜と出ます。
計算では、0.12㎜単線を25本と出ました。しかしそのとおり作って聞いてみると、少し違うのです。
なので私は、素線の増減を徹底的に行い、0.12㎜被膜単線が27本の音を0.6㎜単線と同等と定めたのです。その音とは広く爽やかで、0.6㎜単線の音質を遥かにしのいでいました。
ちなみに0.6㎜単線一本の断面積と、ほぼ同じですが、0.12㎜被膜単線を27本束ねた合計表面積は0.6㎜単線の表面積の5.4倍の表面積になるのです。
そして、以前のウエスタン0.6㎜単線を四本捩ったケーブルの表面積は7.536㎜になりますが、被膜がなく導通する為、単線と同じく、太くなっただけで表皮効果はあまりありません。
そして、0.12㎜単線を27本と定めたリッツ線を一本として、それを四本、つまり合計で108本になりました。
0.12㎜単線108本と0.6㎜単線四本の合計表面積の差は、何と21.6倍になるのです。あくまでも計算上での事になりますが、凄い事です。
当然0.6㎜被膜単線四本のリッツ線も作ってみました。つまった様な酷い音になりました。
私は、軽く書くのもいいけれど、みなさんにしっかり数字で見てほしかったのです。
しかし、こう気づくには、前後関係を理解しなくてはならないのです。電卓や数学だけでは絶対に割り出せません。ここに少しの好みが存在する、そう感じます。
ウエスタンスピリッツの絹巻きケーブルは、パット目には独特に見えるのでしょうが、実に計算と経験に基づいた、丁寧に作った、まともなケーブルなのです。
私はなぜそのような音になるのか説明が出来ます。しかし、「好み」と言われてしまうと、私の話はそこまでで、誰とも論ずるつもりはありません。
しかし、明らかに間違えてる事を好みと言われてしまうと少し辛いです。答えは出ているのですから。
だから、私の様な変わり者が一人位いても良いのではないでしょうか。世の中には好みでは片付けられない絶対的なものが存在するのです。
ただし、万能はありません、そこに僅な好みが存在するのかもしれません。
ウエスタンスピリッツのリッツ線を、どうぞ宜しくお願いいたします。
一ヶ月無料で、モニター応募を募っております。貴方がご負担になるのは、返却時の送料だけです。