自作ネットワークは蟻地獄
蟻地獄、正にその言葉がぴったりでした。それは、私に経験と知識があまりにもなかったからです。
ずっと私を苦しめていたのは、昔のオーディオ業界にはびこっていた変なセオリーでした。
JBLオリジナルネットワークの中を開けてみると、とんでもない数値の部品定数設定になっていました。
それを雛形にされる方が多かったのです。当然狙った周波数でカット出来ていません。
そんなネットワークの部品定数など気にしないで、教科書通りに作れば良かったのです。
6dB落ちクロスの(12dB/Oct型)この回路は、周波数は比較的すっぱり切れている気もしますが、実はそうではなく、以外とだら下がりに切れてるものなのです。
ならば3dB落ちクロスの(6dB/Oct型)の方がシンプルでロスが少ないと私は思いました。
(12dB/Oct)はハイカットをするのにコイルの後にコンデンサが並列に入ります。またローカットではコンデンサの後にコイルが並列に入ります。
これは、マイナスへ音楽信号を捨てる事になります。その点(6dB/Oct)ならば、コイルもコンデンサも直列にしか入らない為、切れは甘いですが、素直な音になるのです。
そして、アッテネーターの質が一番の問題となります。可変式やトランス式のアッテネーターは音が明るく汚くクリアーではありません。ドライバー等がうるさくなるのは、この両者のせいです。
私は、USA製のDALLE(デール)の消し炭色の酸化被膜タイプの固定抵抗をお薦め致します。
絞る定数さえ間違えていなければ、どっしり落ち着いた、渋くクリアーな音になるからです。
そして、定数を決めてる途中に使う鰐口クリップ、これがけっこう問題なのです。
何が問題なのかですが、やはり半田が最高の端末処理なのです。そして、ネットワークは配線をなくし、部品のリード線どうしをしっかりからげ、部品の向きも考えながら最短で留めると良いのです。
そして、個々に優れた音の半田を探し、拘って欲しいと思います。半田で音は激変します。
そして、部品を板にボンド等で留めるのでなく、インシュロックでしっかり留めると音が良いです。
なぜインシュロックなのかですが、部品定数を動かすとき、直ぐに外れ、また新たな部品もしっかり留める事が出来るからです。
とにかく、自作ネットワークはなかなか部品定数が決まりません。正に蟻地獄なのです。でも、独自性を出さず、正しく作ればしっかりしたものが作れます。
皆さんの、ご成功をお祈りいたします。