アルテック620B再び、蘇っていた。
千葉県Y市に行ってきた。私の大切なお客様である。アルテックの620Bを中心に、プリとパワーアンプはCROWNで、CDはマランツ、ターンテーブルはガラードモデル301、アームはタブルになっていてモノラルが、FRのFR-64S、カートリッヂはオルトフォンCG25D、ステレオが、オルトフォンRMG-309、カートリッヂはオルトフォンSPUGE、電源には総てに特注のノイズカットトランスを入れている、物凄い拘り屋さんだ。
そしてケーブルは総てウエスタンスピリッツである。最近ネットワークの部品ドイツ製のムンドルフがハイクラスに変わり、かなり鳴ってきたから、試聴に来てほしいとのことである。
かなりの自信だった。
前回は同じムンドルフでも白いタイプ(中国製)だった、それでもかなりのレベル迄鳴っていた。
白のムンドルフでも音も作りも正直かなりなハイクラスだ。
部品のレベルが上がればネットワークはかなりの差になる筈だ。
我が家で確認済みである。しかし、このハイクラスのムンドルフコンデンサー、実はガチガチに固く、エージングは普通の家庭の使用時間ならばゆうに半年はかかる、まあいいか聞いてみたい。
そう思い、私はワクワクして伺った。
想像どおり、かなりの音色だ。
うんっ?少し、定位と音像がおかしい、色々尋ねたら、ネットワークのドライバーのデシベルの上げ下げ(固定抵抗)で真ん中に寄せようとしている。
それはいささかおかしい。それは何故か?
ドライバーのレベルでなく、左右のスピーカーのセッティングがずれているからだ、ドライバーだけ合わせてもウーハーは揃わない。どう考えても右と左の音が違うのだ、左はドライバーが強い、右はウーハーが強い、ピカソの絵の様に歪んで定位している、少しの間、大雑把に聞いて判断した、固定抵抗だから、直ぐに左右マイナス10デシベルに揃えてもらった、今度は左右のレベルは揃ったが、総て音が右に寄った、私には分かった、右のスピーカーが少し後ろに下がっていて、僅かに内振りになっている、だから右の音が前に出て聞こえるのだ、みなさん大体逆にやっている、ホーンはほんの少し外側に振らなければ音が絡まる筈だ、この時、私のやり方はみなさんと逆で、右のスピーカーを少し前に出し、外側に振るのだ、右のドライバーも三ミリほど外側に振った、ドンピシャ一発で決まった。一発で決まるのは初めてだった。
耳で合わせて3デシベルの差がこんなに簡単に決まるのにお客様は驚いていた。私からしたら当たり前なのだが、驚き、あまりの変化に喜んでいただいた。
これでCDは決まった、が。
今度はアナログがおかしい。
CROWNのプリにはフォノの入力にレベル調整が付いている、そこも少しおかしな調整をしているからアドバイスしてきた。
夜中に聞くとき一番下のボリューム位置でも音が大きいので少し絞ったとの事だった、つまり二重三重におかしな調整をしていた事になる。
出来たらそのレベル調製はいじらない方が音は格段に良くなる。
しかし、左右ちゃんと鳴ると音は全く変わる、やはり定位は肝心だ。
改めて思った、やはりネットワークの部品による音質の効果は物凄いものがあった。
正直ムンドルフは高い。
でも我が家と同じ効果だ、伊達に高い金額はついてないと思った。
それと、今日気付いたが、アルテックとJBLの音の差である、アルテックは基音がよくでるが、倍音が少ないので低域は薄く軽い、音が速く切れ込みが浅い、それに対しJBLは倍音再生が得意みたいだ、その代わり動作はアルテックに比べ遅いと感じた、切れ込みが深い、輪郭のクッキリしたアルテック、ドカーンと鳴るJBL、これは貴方がどちらを選ぶかだ。
よく比較されるメーカーだがかなり鳴り方が違うのだ。
それと、電源トランスが、かなりきいている、我が家と比べ数段静かな鳴り方だった。
とにかく良い音だった。
ムンドルフの値段の高いコンデンサーは優秀である。変な言い方になるが、まろやか繊細でスピードがあり、切れがよく、ゆったりした鳴り方になる。つまり、安定感があるのだ。
しかし、620Bはもっと低域がでる筈だ。
まだ何かがおかしい。
早速、お客様を我が家にお呼びした。