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この記事は、2018年11月7日に、FC2ブログからこちらのサイト(https://we-spirits.jp)へ
移転したものです。

愛用のシステムJBL4560



ご覧のとおりである、私の使っているシステムはたいした事はない、ただし、使っているものはである。
プロは優れた物や特殊な物を使っていてはいけない、それが私のポリシーだ。
それは何故か?
多少は入手困難になってきたが、誰でも揃えられる程度の装置でないと、その違いをお客様に分かって貰えないと思っているからだ。このシステムも独特なのかも知れないが、ジャズを聞く人には、一度は聞いた事のあるシステムの組み合わせなのではないかと思う。私は、それからあり得ない音を出し、聞いたお客様を驚かせたいのだ、それがプロだと私は思う。
あまり独特な装置をプロが使うのはいただけない。
私は二十歳の時に、このスピーカーボックスと新宿のディスコで出会った、なんて酷い音なのだろう?でもなんてカッコいいのだろう。
普通は音が悪ければかっこいいとは思わない、みなさんもそうだろう。
でも、そう思った、それがこのスピーカーボックスとの出会いだった。
こんな音の筈はない、どうしても欲しかった、何の知識もないのに。
そして出会いから二年、私はこのボックスを何とか中古で手に入れた、日本製は駄目だ、何となくそう思った、しかし期待は見事に裏切られた、やはり酷い音だったのだ。
色気も艶も何もないボコボコの低音。
低い所が全く鳴らない。
それから色んな情報を集め、私は知識と経験を増やしていった、みんな私に言った、そのボックスは普通の部屋では使いきれないと、途中何度も手放し、他のスピーカーへ変わるのだが、私は結局このボックスへ戻ってしまうのだ。
アルテックA-7もオリジナルも含め三セット使った、でも私はA-7ではないのだ、やっぱりJBLの4560が好きなのだと最近思った、そこには私だけが感じる視覚的な要素もあると思う、しかしどうしても予感めいたものがあり、このボックスから勢いある低い低域を出して、いつの日かジャズを良い音で鳴らしてみたかったのだ。私には上手く鳴りそうに見えて仕方がないのだった。普通4560はパンチのきいた打撃音は出るが、腰高であまり低い低域がでないのだが、悪戦苦闘の結果、我が家は現在、不思議とかなり低い低音が出るのだ。聞いた人はみんな口を揃えて不思議がっている、この部屋のどこかにスーパーウーハーがあるのではと。
その位鳴っている。
しかし、これはスーパーウーハーの音じゃないねとみんな言ってくれる。
錯覚ではない、嬉しい。
因みに私のウーハーはどこにでもあるJBLの130Aである、別に特別なフィクスドエッヂではないのだ、ありふれたものからとんでもない音を出すのが私の目的だからで、何もプロはあえて特別なものを必要としない。
むしろ優れたものはお客様へ、これが私のスタンスである。
今だから話すが本当に難しいボックスだ、しかし上手く鳴れば他を寄せ付けない、ある意味、独特な魅力をもった音のボックスとなる。強いて言えば箱が鳴り、箱が少し歪み、それがこの独特な音を作っているのは間違いない、正に熟練した人でなくては作れないボックスだ。いったん手放した4560は補強をやり過ぎて何の魅力もない音になってしまった、それからはこのボックスに何もしてはいけないと知ったのだ。4560に角材等を張り付けて鳴きを止めている馬鹿がいるが、そんな事をするくらいならば、このボックスを使うなと私は言いたい訳だ。
たくさんお金を使い、売り上げの落ちたオーディオに貢献し、オーディオショップの餌食になればいい、断っておくがこれ以上のボックスはなかなか作れない、スペックだけでは語れない、クラフトマンシップが、ノウハウが、昔のJBLにはあったのだ。
残念ながら、今はもうないと思う、オーディオショウにいき、みんなはやっぱりJBLの独特な音は健在だねと話している。
私は言いたい、全く別物です。
今のスペックだけ追いかけたJBLならば、絶対にTADに負けている、TADの設計者は元JBLのプロフェッショナル部門にいた人らしい、しかもJBLがプロフェッショナルから撤退していったので、つまらなくなりTADに移籍したと聞いた。
私の知り合いに一人だけTADを上手く操っている男がいるが、それを聞くまで私はTADは家庭では無理だと考えていた。
私はそれを聞いて、やはり自分はJBLで行こう、そう決めた。
洗練されたTADに比べ、粗だらけのJBLではあるが、私はそれでいいと思う。
4560Bのこの神秘的な顔が音が私は好きなのだから。
もう一つJBLにはバックロードホーンのボックスがある、こちらに私は2205Aを入れて使っていた事もあるが、私と合わず、やはり私は4560Bに戻ってしまった。
それと、普通の四角いバスレフのボックスの方が、遥かにもっと低い低域が出るのは分かっているのに、なぜだか私はひたすらこのボックスなのだ。
それだけは私自身も理解不能である。
4560Bの鳴らす周波数のどこがが私の神経にピッタリハマるのだ。
これじゃなきゃつまらなくて、聞いていられないのだ。
オリジナルと全く同じにボックス専門の方に作ってもらった事もあったが、その音は似て非なるものだった、私のボックスを作ってくれた方が、我が家に届けてくれた時に、二人で聞いた、当然その製作者はオリジナルを聞いている、音が変わってしまいましたね、と言った。
木材の乾燥の問題もあるのではと思い何年か使い、結局私はオリジナルに戻ってしまったのである。
かなりの熟練者の腕をもってしても作れない、その時私はそれを知ったのである。
やはりどこのメーカーでもボックスはオリジナルに限る、それを口を酸っぱくして話したのはかの有名な五味さんである、オートグラフはイギリスへ注文するべきだと。
タンノイの箱はそのユニットを鳴らすべく作られている、スペックだけならば私が注文して作ってもらったボックスの方が遥かに良かった、でも音がつまらなかった、さて、それをいったいどう理解したらいいのかである。
オーディオはスペックではなく、やはりたぐいまれな感性(センス)である、私は結論づけたいと思う。
とは言っても、私にはどうしても二本のスピーカーを上手く鳴らせるセッティングの感性に乏しい、私の目の前で変わっていった友人の素晴らしいセッティング技術、それがいつも私の中で4560Bのボックスの作りとダブって仕方がない。
それは絶対的な感性でしかないと思う。
私はいつもそれを思う。
JBL4560Bよ永遠に。

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