何にも買えなかった頃を思った
以前は何にも買えなかったのです、でも、その時はそれしか知らないので、それでなんとか工夫して、少しでも良い音を目指していたのです。
しかし、知らないと言うのはやはり違います、お金をかけずにオーディオをやっていると、私の様にいつか壁にぶち当たります。
そう、それが限界なのです、経験があれば確かに間違いはないのですが、なまじ自信だけが先走るのです、でもそれは少し違うのです。
そして、昔世田谷の経堂に住んでいた時、今はそのお店はもうありませんが、行き付けの焼き肉屋さんのご主人さんにこう言われました「若い時は誰だってお金はない、でもお金は貯まる時には貯まるから大丈夫、今のままくさらず努力しなさい」と、本当にそのとおりでした。
時代は進み技術も部品も進歩しているのです、安くて良いものはやはり存在しないと思うようになったのです、そして中古で購入した往年の名機は、一部を除きかなり部品が劣化し危ない事になっております。
その中でも劣化のしない様な物を選ぶか、しっかり修理してくれる所と常にお付き合いしておく必要があるのです。
値段が高いものはそれなりに、数値(スペック)が違うのです、セメント抵抗とDALE(消し炭色の抵抗)は全く気品が違うのです。
ネットワーク等に使うコンデンサーにドイツ製のムンドルフがあります、その中でも一番高価な物を私は使っていましたが、音がしっかりしていて、全く他を寄せ付けません。
ASC(アメリカンシズキ)が良い等と話されてる方もおりますが、私は自分で両方使ってみて、ムンドルフに軍配をあげました、つまり余裕と音の気品が違うのです。
その理由を考えてみました、ASCは耐圧が低くリード線も中に巻いてる線も細く巻きが甘いのです、それに対しムンドルフは、本体も大きくリード線も太く、耐圧も高く中に巻いてる線も太く、巻きが固くなかなか馴染まないですが、2~3年使った音はASCを遥かにしのいだのです。
しかしASCは巻きが甘いのですが、ドーム型の様な素直な雰囲気のツィーターのローカットコンデンサには向いていると思います。
この様に色々使ってみて経験を積むには、やはりある程度のご予算が必要になるのです。
ある程度購入出来る立場になった今、自分も経験したのですが、何にも買えなかった頃に努力した事が今もなお、とても役にたっているのです。
安いものから工夫をして、人よりも優れた音を鳴らす努力をする、この経験は絶対に無駄にはなりません、後に必ず役にたちます、そして何より購入したものを大切に使う事の大切さを学べます。
何にも買えなかった頃を振り返り考えてみました。