リッツ線の理論
リッツ線とは元々、オーディオケーブルで考えられたものではありません、もっと高周波の無線や、スイッチング電源等の精度をあげる為に編み出された理論です。
電線と言うのは電気が流れてる状態で線の中心になるにつれ、インピーダンスが高くなるのです、これは隣あったグランド線との電磁誘導の影響です。
素線の表面を流れようとする性質がありますが、低い周波数も結構素線の表面を流れます、これは交流だからです、直流(DC)ならば電気は線の中心を流れます、オーディオは交流です。
この理論を利用して研究されたのが、リッツ線の表皮効果です。
ではどの様な理論なのか、語ります、表皮効果を高めるには出来る限り合計表面積を増やしたいところです、その為には被膜のかかった素線を細くして本数を増やせば良い。
では何故なのかお答え致します、今回1㎜単線の断面を円と例えます、表面積は3.14㎜です。
例えば0.1㎜単線の断面積は0.1㎜ですが、リッツ線なので表面積を求めます、0.314㎜となります。
では何本使えば1㎜単線と同じ断面積になるでしょうか、答えは100本です。
つまり断面積は同じでも、1㎜単線の10倍の表面積になった訳です、つまり1メートルだった道路が10メートル道路になったとご理解下さい。
でもそんなに単純なものではありませんでした、いくら細い素線を使うとは言えやはり音質には細さの限界があります。
実際にスイッチング電源を設計されてる方の情報によりますと、0.12㎜単線以上細くしても変化なしとの事でした。
闇雲に実験しても答えはでないので、0.01㎜被膜単線から実際にケーブルを作り聞いてみると、確かに0.12㎜単線は音質が一番優れていました、やっと見つけました。
ウエスタンスピリッツには雛型がありました、0.6㎜を四本捩ったケーブルをホットとしたシールドケーブルです。
0.6㎜単線と同じ断面積にする式を求め計算すると0.12㎜単線を25本となりますが、作って聞いてもあまりパッとしないので、増減を繰り返し試聴していくと、0.12㎜単線27本が一番優れている事に気が付いたのです、それを同じに四本捩ったのです、合計本数は108本となりました。
こじつけになりますが、108とは、お釈迦様で言う人の煩悩(欲)の数ですね、何か不思議な気が致します、欲しい音を総て叶える、そんな気もします。
そしてウエスタンスピリッツはグランドが絹巻き1.6㎜単線で、そのまま応用しました、シールドはホットにだけです。
リッツ線とは高周波の為だけに考えられたのですが、その表皮効果は全帯域に効果がありました。
そして表皮効果があると言う事は被膜もとても大切で、石油系の被膜では帯域バランスが崩れるのが分かりました、高域が減衰し総ての帯域の解像度が落ちます、またそれが穏やかともとれますが、違うと私は思います。
被膜はやはり絹かリネン(麻糸)しかないようです。
そしてリッツ線こそが究極のオーディオケーブルだと確信したのです、リッツ線は素線の細さの限界とグランド線の太さのバランスが大切で簡単に作る事は出来ません。
正しく出来ればリッツ線はとても良い音です、素直で自然な帯域の広いバランスの良い音です。