カートリッヂ
私はたくさんのカートリッヂを使って来ました、しかしかなりたくさん聞きましたが、殆どのカートリッヂを聞くことは出来ませんでした。
それはなぜか?今と違い、物凄い種類があったのです、その中でもデンオン、シュアー、オルトフォン、グレース、サテン、スペックス、光悦、ビクター、ヤマハ、このへんが人気だったと思います。
中でも良く売れたのが、デンオンDL-103とシュアーだと思います、当時カートリッヂはとても高価で、簡単に購入することは出来ませんでした。
カンチレバーでも折れようものなら、いっぺんで月の予算が飛んでしまいました。
なので大切に使ったものです、そして景気も良かった為、給料も少しずつ上がっていき、念願のオルトフォンのSPUG/Eを購入出来た時は天にも昇る気持ちでした。
二十歳を過ぎた頃私は、秋葉原の高級オーディオの販売員をしていて、自分で話すのも変ですがよく売りました、そんな私にメーカーは何でも無期限で貸してくれました。
その頃に私はオーディオは値段じゃない、使いこなしだと勘違いしてしまったのです。
確かに値段もあります、機材の持ってるスペックもあります、しかし肝心なのは、そのスペックを使い切るだけオーディオが調っているか、と言うことなのです。
正にトーンアームとカートリッヂは三位一体です、とにかく調整がいい加減では絶対に鳴りません。
断念しがちなアナログのトーンアームの調整、正に個人の力量を試される、ガチンコ勝負です。
なかなか鳴らず、苦しいからアナログは楽しいのです、慣れと経験を積んで色々な調整をクリアー出来るのです、アナログだけは偶然にあったなど絶対にありません。
話は飛びましたが、カートリッヂデンオンDL-103です、日本のカートリッヂの基本中の基本だと思います。
丸針なので、あまりソフトを選ばず使えますが、一つだけ欠点があります、たまに針飛びを起こし上手くかからないレコードがあることです。
針圧を重めにすると音飛びは減りますが、103独特のフレッシュな雰囲気が無くなってしまうのです。
そして、なんと言ってもオルトフォンSPUです、私はこのカートリッヂが大好きで何個使ったか分かりません、しかしやはり時代は進み後から更に優れた商品が追いかけて来ます。
今使っているものは、オルトフォンのCadenzaブルーです、今まではどうやっても甘かった低音と全体的な付帯音がなくなりスピードが早く、ジャンルを選ばないその素晴らしさに惚れ惚れしています。
しかし、ただオルトフォンCadenzaブルーに買い換えただけでこのようには鳴らないのです。
私もCadenzaをまともに鳴らすまで、三ヵ月はかかりました、カンチレバーがルビーにな
っている為、エネルギーロスがなく、とても敏感で繊細なのです。
そして気が付きました、所有していたSPUも経年変化でボケていたのです。
正直60~70年代のものはほぼ壊滅的だと思います、しっかりメンテナンスすると
蘇ると思いますが、無責任には言えませんね。
しかし、たくさん種類のあるカートリッヂですが、名機はそんなにたくさん存在しないようです。