父よ…
去年六月二十日、父は眠るように天に昇ってしまいました。
振り返ってみると、何度も入院させ自由を奪いその都度に筋肉が落ちて弱り、かわいそうな事をしたと思いますが、それはこちらのエゴなのかもしれません。
前の年の七月に具合が悪くなり、遂に七度目の退院は叶わなかったのです。
介護のベッドもパジャマも総て用意して待っていたのに、一度も使う事はなかったのです。
入院の最後の方は看護士さんに「やっぱり家族三人の暮らしがいいな」と何度も話していて、退院は本当に目前だったのです。
家内や私からすると、覚悟はしていたものの正に青天の霹靂でした。
引っ越してきて、何とか三年お世話が出来て、私の仕事の内容も父は理解出来たようで、安心して旅立ったのでは、と思って自分を慰めています。
今日家内と父の遺品を整理しました、とりあえず父の衣服を総て袋に詰めました、多分母にはなくなっても分からないでしょう。
母を騙すようで悪いと思いましたが、普段はお風呂に入れるのに一時間半はかかるのですが、今回は三十分で入ってくれました、その間にほぼ処分出来ました。
これも多分、母の今までの生真面目な人生そのものに感じます、分からないまでも何かを感じているのだと思います。
亡くなるまで家族を最後まで苦しめる両親と、父のようにあっさりと旅立った人、答えはないですが、あっぱれだったと思います。
母も同じだと私は感じます。
父よ…あなたはもういないですが、あなたがいなくなった今でも時間は普通に流れています、母の事は我々夫婦にお任せ下さい。
私の父でいてくれていた日々がただただ懐かしいです、あなたの息子で良かったです、ありがとうございました。