部屋が鳴ってきた
と言うよりは新たに現れた床が、オーディオに都合よく馴染んできた、とでもお伝えするべきか。
今まで汚くガラクタでいっぱいだった床が、やっと呼吸する事が出来た、そんな風に思える。
今までは見えるところしか掃除機をかけることが出来なかったが、やっと総てに掃除機をかけることが出来た、こんな当たり前の事すら出来なかったのです。
四年ぶりで茶色いカーペットを見る事が出来た、本来依頼したカーペットの色はダークグレーだった、ビルダーからのアドバイスでダークなブラウンにしたのである、初めてカーペットが敷かれたのを見て「綺麗だな」そう思ったものです。
この部屋でまともに床が見えたのは、引っ越してきて三ヶ月位だっただろうか。
少し前にスポットライトを明るいものに交換したので、それも相まってやっとオーディオを仕事にしている人の部屋になったと満足している。
クリアーな感じの音なのだが、音が濃く低音が更に下へ伸びて勢いがある、JBL独特なゴンゴンした音は微塵もない、全体的に穏やかで重心が低く端正である。
今までになかった鳴り方がたくさんある、今年の一月に家内と行ったウィーンフィルのニューイヤーコンサートの雰囲気そのものである、会場にいて包まれてるあの雰囲気、それがある、後は友と二人で行う二本のスピーカーのセッティングである、友が聞いて私がスピーカーを少しずつ動かす、簡単には決まらない、一回では決まらないが何度目かで決まるだろう。
付帯音が減り、分厚くパワフルになった、やはりガラクタの山はエネルギーロスになるのだと思った。
最早今迄聞いてきたJBL4560BKの音ではない、スピーカーやラックや機材の下に敷いた板の意味を知った。
現代のJBL程低い音階は鳴らないが、渋く端正な鳴り方をする。
断捨離と片付けをしてラックも作って本当に良かった、まだ慣れていないが、欲しいものは一目瞭然に見つかる、部屋が綺麗になった事で、やる気が沸いてきた。
色々気付いた、人間だらけた生活をしていてはいけない。
熊手もワンサイズ大きなものに買い換えた。
いらないものは二度と使わない、部屋にあっては邪魔になるだけである、そしてものには経年変化と寿命がある。
使わないで何時か使うだろうと床や箱の中に置いたものは二度と使う事はない、ならば処分した方がいい。
久し振りで出てきた床は、見ているだけで気持ち良さそうである、新たな音がたくさん鳴りだした。