では真実をお話し致します
若い頃のお話になるが、オーディオ販売員の前に、調整卓の前に座っていた(ミキサー)事がある。
スタジオの音とは、とても整った音である、しかし家庭に持ち込んで気持ち良く鳴るかと聞かれたら、話は別である。
JBLやTADなどが一般的だったが、型番は同じでも、販売されてるものとは仕様が全く違うのである。
本当のプロ用は、総てが最初から最後に至るまで総てがバランス接続(600オーム)になっていた、一般的なバランス接続とも少し違う。
音や定位は確かに凄く正確なのだが、つまらない音である、聞いて良い音と、ただ正確無比なだけの音とは全く違う、所謂、無味無臭なのです。
コンソールの前とは例えると、まるで飛行機のコックピットや、F1マシーンを運転しているようなものである。
「我が社のコンソールは世界最高のものを入れたので、調整卓で音を作らなくて宜しい」そう言われたので辞めたのである 。
調整卓である程度 音を作って録らないと、レコードになった時の音は全く駄目なのである。
レコーディングした後、更にカッティング屋さんが、音を弄るのである、これは商品化された時に音飛びや歪んでしまわないようにである。
レコード作りとは多岐に渡り、正に職人芸だったのである、今はもうその様な方は残っていない。
それからレコードは、デジタル録音が絡みどんどん音が悪くなった。
そしてCDが発売され、アナログは衰退していった、昨今のハイエンド(CDP)は、かなりアナログに近くはなったが、どんなに頑張っても、未来永劫アナログを抜く事は絶対にないと断言出来る。
話を戻します、私はその頃 聞いた帯域バランスが未だにしっかり残っているので、我が家の音づくり(音質改善や帯域バランス)に役立ったのです。
今は年をとり左右の耳の聴力も、当時よりは衰えて来ましたが、帯域バランスだけは分かります。
今年のニューイヤーコンサート(ウィーンフィル)を観ました、この建物はウィーン楽友協会が所有しており、その中にこのホールはあります、しっかりした外壁があり、床、壁、天井の外壁との間に二メートルの隙間を設けており、ホール自体が音楽を気持ちよく聞けるように共鳴しているのだそうです。
そのホールを管理している方が、天井の柱の上に、砂の入った箱を置いてみたそうです、演奏が始まるとその砂が見事 波打ったそうです。
このホールが楽器のようになっている証拠です、そしてこう話されました「このホールは、お客様が満席になった時に最高の響きになるよう設計されてます」多分お客様の洋服が適度に音を吸音するのだと思います、これは良く聞くお話ですね。
そしてウィーンフィルの奏者が使う楽器の保管庫のお話になりました、奏者は自分所有の楽器でなく、ウィーンフィルから決まった個人の楽器を提供されているのです。
当然順序があり、序列の上の方から好みの楽器を選ぶことが出来るとの事です。
その中で特別なのがヴァイオリンのストラディバリだそうです、優れたストラディバリが一台か二台入るだけで、オーケストラ全体の音が違うのだそうです、そのトータルでのハーモニーがとても大切なのですが、同じ演奏や響きは二度とないそうです。
楽器一つでこの違いです、ウィーンフィルの木管楽器の音など分かる筈もありません、どこの何と言うホールの、何処の何番目の席で聞いたウィーンフィルの木管楽器の音なのでしょうか?
総ては全部が合わさった芸術なのです、何かにスポットをあてて聞いてはいけません。
これが真に分かっていると勘違いしているならば、とても幸せな人生をおくれると思います(笑)
だからオーディオマニアは笑われるのです。
正しい音とは録音されたそのままを聞く事であり、聞いた事がないとなかなか鳴らすことは出来ないと思います。
その意味でなら私は少し有利だと思います。