お風呂に入らない英ちゃん
このお話はアルツハイマー型認知症を患った母のお話しです、暫しお付き合い下さい。
アルツハイマー型認知症の特徴としてお風呂に入りたがらない。
母は一階に住んでおり、一日中ソファーの上で横になりテレビを観ているか、何かを食べています。
去年の秋頃はお風呂をいれてあげると、結構あっさり入ってくれたのですが、10月の終わり頃から全く入らなくなってしまったのです。
何をするか分からないのでたまに階下へ様子を見に行きます、すると部屋がとても臭いのです、洗わない頭皮独特な匂いです。
母は八十五歳と高齢なので汗をかくことは希だと思うのですが、アバウト三ヶ月はお風呂に入っていません。
頭を見てみるとつむじのあたりがハゲています、脳神経内科へ行くと女性の認知症の方はビンドメでハゲた所をかくそうとしているのです。
普通ハゲをかくそうとするなら、先ずはクシで髪をとかしてからハゲたところをフワッとさせ、その上でビンドメを使うと思うのですが。
認知症の母にそんな芸当出来る筈がないので、ビンドメでとめたところがわれてハゲが丸出しになっているのです。
では何故ハゲたのか、頭を洗わない為、毛根に皮脂がたまり、髪の毛が抜けてしまったのだと思います。
しかしお風呂に入ると、生き返ったような明るい表情になるのです、気持ちいいのだと思うのですが、認知症の為その「気持ちよかった」これを忘れてしまうのです。
多分「面倒くさい」これが一番だと思います。
これは介護ヘルパーさんを使っても同じ事です。
いくら諭そうにも、会話と言うのはたくさんの単語が合わさってそれを脳で整理して成り立っているため、認知症になるとこれが繋がらず会話として成り立たないのです。
そして自分の事だけで、能力がいっぱいで他人の事は一切関係ないのです、よって自分の身なりや他人の事は関係ないのです。
なので母の知能は多分、二歳児くらいではないでしょうか、とは言っても若い頃の記憶は意外と鮮明で、その頃の善悪の見境はあり、その程度の常識はうっすら残っているものと思います。
もう総てを理解出来ないため、キャッシュカードでお金を引き出したり、駅で行き先までの切符を買うのは無理です。
外からの救いを願った事もありますが、期待虚しくです。
しかし意外と本人の頭の中は穏やかなのだと思います、忘れてしまう、これは神からのプレゼントなのかも知れません。
アルツハイマー型認知症、この病気は一人一人の症状があり、一つにならす事は出来ないのです。
そして今朝、食事を作って運んでくれた家内に聞いたのですが、母は頭に口紅を塗ったのか真っ赤になっていたそうです、母はだんだん壊れて来たので、毎日何がしかやってくれてます。
昔からよく言われますが、先にボケた者の勝ちです。