英ちゃんの介護
母はアルツハイマー型認知症を患っております、我々夫婦は真剣に介護して来ました。
近所の方はケアマネを通し、デイサービスや、介護ヘルパーや、老人ホームなどを薦めて来ますが、正直うんざりします。
言われる前にあちこち相談したり、ネットで調べ散々試してみたのです、でも総て駄目でした。
ご自分の親がこうなれば誰でも分かります、いくら介護のプロでも実の親子にしか出来ないのが介護です。
しかし良くなる事のない、先の見えない介護なのです、妻はある程度冷めて介護する事が出来ますが、私は力が入り過ぎていたようです。
私にとっては生んで育ててくれた母なので、何かあったら大変と力が入り過ぎていたのです。
先に話したように良くなる事のない介護です、もう何を伝えても覚える事は出来ません、しかし覚えられないのだから仕方がありません。
言葉は悪いですが、諦めたのです、するとあまり母の事を考えなくなって来たのです。
以前は一日中、母の事を考えていました、以前、母の主治医に言われました「言葉は悪いですが、もうすぐ会話にならなくなるはず、息子さんである貴方がしっかりしなくてはなりません、そしてあまり熱くならない事です」まともに取り合ってるとこちらまでまいってしまう、とのアドバイスでした。
一日に二~三度私は母と会話して顔を見せるようにしています、くすぐるふりをしたり、変な顔してみたり、おかしな事を言って母を笑わせています。
母は不思議とここまで認知症が進んだ今でも徘徊もありません、ご飯を自分で炊けるのです。
母の一日は朝起きて家内の作ったおかずを自分で炊いたご飯で食べます。
後はお昼に私が持って行った紅茶でおやつを食べ、夕方にカロリー計算されたお弁当が毎日届きます、その少し後から私は赤ワインを持って行きます。
それを食べて暫くテレビを観てから寝るようです。
そして財布の中のお金を毎日一日中何度も数えています、若い頃お金の事はしっかりしていたので不安になるのだと思います。
でも母の財布の中身はずっと変わらないのです、覚えられないので何度も確認しているのです。
母の行動はやってはいけないと伝える逆をしてしまうのです、少し前はそこに腹をたてましたが、分からないものは仕方がないのです。
諦めると楽になりました。
見捨てるのでなく諦める、そしてよく笑わせ希望をもたせる、これが一番のようです。