オルトフォンSPU
言わずと知れた名機?です。
私は個人的に1973年製のものが一番だとずっと思っていました、しかし、それは多分違う、なぜそれを分かったのか?ですが、2009年に愛用していたSPUの片チャンネルの音が出なくなった為に、見てみようと、アームから外した瞬間に手のひらからこぼれカーペット敷の床に落下、カンチレバーがほぼ直角に曲がっていました。
アチャー!真っ青になりました、気を取り直しルーペでよく見てみると、カンチレバーのパイプが曲がって裂けていました、戻そうとラジオペンチで曲がったのはなおりましたが、どんどん悪化してゆき、自分での修理を諦め、知り合いに連絡をとり、修理している人に辿り着いた訳です。
多分、元通りには戻らないで、音は変わってしまうだろうけど、仕方がない位に思っていました。
その方は神奈川県の横須賀におります、恐る恐る連絡をとると物凄い丁寧で自信に溢れた声だった、私も同じオーディオ屋なので、何となく仕事ぶりは分かるものです、いわゆるちゃんとした人物でした。
日数を聞くと大体最低50日はみてほしいとの回答が即かえってきた、了解です、明日送りますので宜しくお願いいたしますと依頼しました。
一万円以上費用がかかる時はこちらからご連絡しますとの事でしたが、一ヶ月後に請求書と共にいきなり送って来ました、その請求書の金額に少しビックリしましたが、繋いでみると、いきなり、修理に出す前とあまりの音の違いに、私は納得して即代金を振り込みました、良い仕事してます。
そして振り込んだ事と、どこをメンテしていただいたのかを細かく御聞きしてみた、ダンバーをはじめコイルも含めて震動系の総てを交換しました、との回答でした。
音が素晴らしくなったと私が告げると、普通のSPUに戻しただけですと、いとも簡単にお答えになった、その普通のSPUが市場にはゼロです、との事だった、私はその言葉の意味を総て悟った訳です。
中身を一度完全に分解して清掃、その後にカンチレバーのチエックやコイルの巻き直しやダンパーの交換、テンションワイアーの調整を行っているらしい、ワイアーのテンション調整は大切でとても難しく時間がかかる、大変だな、私は思った。
それにしてもヴィンテージショップやネットオークション等で販売されてるSPUはどれも酷いものです。
新しいものならば平気ですが、古いSPUは間違いなく二十年経ってれば、ダンパーが駄目になっています、特にSPUはダンパーがはじめから固いためにあまり分からないのです、駄目になろうが古かろうが動作してしまうから驚異的だと思いますが、それはちゃんと鳴っているのとは随分話が違うと言う事です。
私はSPUを30本は購入しましたが、結論から話すと全部駄目だった事になります、ちゃんとしたSPUの音を一度聞いたら誰でもわかります、全く別物だと言う事です。
やはりSPUはやっぱり名機だと思います、カンチレバーがないほうが音が良い等と話している人がいますが、針の固定が難しく、結局レコードを大切にしていないと言う事になる、カンチレバーがあるから適度にエネルギーロスになるが、レコードをあまり削らないのです、と言う事は、カンチレバーは必要だから付いている訳です、メーカーは分からないからそうしている訳ではない事をこの場を借りて私は話します。
メーカーはピカ一を作ろうとしている訳ではありません、消費者が安定して使えて、その中で少しでも優れているものを作っているのです。
メーカー名はあげないが、カンチレバーがないカートリッヂは日本製にもある、しかしその音は強すぎてうるさくレコードをバンバン削っている事をみなさんご承知であろうか、今でもネットオークションでは値段が跳ね上がります。
個人で勝手に作り、気に入って使ってるのならば私は何も言わない、しかしそれを高額な値段をつけて商品化をしてはいけないと思う。
SPUの利点はカンチレバーが少し短く太い事です、だから立ち上がりが早いのだと感じます、それでもやはりレコードを削っているのは明らかです。
SPUの適正針圧は3グラムではないと私は思う、3.5~4グラム位で、しっかりしたものならば正常動作する、針圧が軽く針先が跳ねるようでは、逆にレコードが傷つく事になるのです、よってその音は明るくうるさくなる事になるのだと思います、大体の方はその音をクリアーな音だと勘違いしています。
総ての中古で購入した古いタイプのSPUはメンテナンスが必要だと私は思います。
それを気付く為には中古で購入された古いタイプのSPUを耳に音が馴染むまで聞き込む事が大切になります、メンテ後の違いがわかりますから。
そして、貴方がそのメンテの名人と出会えるかも、総ては運ですね。
音は確実に甦ります。
2012-03-25の記事を読ませて頂きました。私(1949年生まれ、64歳)のSPUも約40年使用してきましたが、昨日片チャンネルの音が出なくなりました。修理をして頂ける所を探し始めた所で、貴殿の記事を見つけました。恐れ入りますが、修理をされた横須賀の方の連絡先をご教示戴けませんでしょうか?