荻窪の櫻井さん
前回伺った翌日の夜、櫻井さんからご連絡が来た、カートリッヂを製作されてる方(ズートコミニュケーション代表、万木康史さん)が、私のケーブルを聞いてみたいらしい。
二週間後の昨日再度伺って来ました、ご要望のケーブルの長さは150センチとの事、なので少し長めに170センチでお作りし、丸三日鳴らしておいた。
自信はあるが、今回は前回聞いた櫻井サウンドへ照準を定めた、後はお二人が聞いてどうかが問題である、改札前で待ち合わせランチをしてから櫻井邸へ伺った。
とても暑い日で待ち合わせてるだけで汗だくになると思っていた、意に反しお二人は既に到着し待っておられた。
美味しいランチの後、早速バスで櫻井邸へ、やはり音は凄まじかった、正直開いた口が塞がらなかった。
前回と違い少しおとなしめの音量だったが、帯域バランスの整ったオーディオの聖地だった。
それにしても櫻井さんは何年かかり、どれだけの血を流し、ここまでのセンスを磨いたのであろうか。
この凄さの前で若輩者の私は、聞いた感想など言葉にならなかった。
そして万木(ゆるぎ)さんのカートリッヂの濃い音を聞いた、即座に欲しくなったが、少し頭を冷やす事にした、しかし心の中で決めた「購入しよう」と。
その名のとおり濃い音なのだが、繊細で腰が砕ける事は一切ない、音が前へ出てくる、作者のジャズへの思いが、私の胸を一発で射抜いたのである。
今回私はNo.0001(つまり一号)のケーブルを櫻井さんの為に作り持参した、
でもまだPUケーブルは作れない。
私は作り手なので聞いていた、そして櫻井さんと万木さんへ聞いてみた「私のケーブルはまあまあですかね?」すると櫻井さんは「まあまあどころしゃないよ、いいよ」
あなたのケーブルは肉付きがある、高域も繊細さがある、普通このような音は腰砕けになるが、そうではない」との事だった。
私は嬉しかった、今までこのような正当な評価をされたことは一度もなかった、今回正にそこを狙った櫻井ケーブルを作ったつもりだった。
「遂に出会ったな」そう思った、「私の命をかけたケーブルは誰にも分かってもらえず消えていくのか?」正直そう思っていた。
私は明日を生き抜く為に必要な素晴らしい肉声(特にチャーミングな女性ボーカル)をまともに再生したかったのである。
分かる方には分かってもらえるが分からない御仁には永遠に分からない、これがオーディオなのである、スペックはどうでもいい、鳴らしてみろ、これが総ての答えである。
櫻井さんありがとうございます、万木さん、本日はお忙しい中お時間をさいていただき誠にありがとうございます。
その夜、再度櫻井さんから連絡があった、無条件で嬉しかった、ケーブルの方向性の確認だったが、またまた熱く語ってしまった。
私の心の中でオーディオに対する熱い思いが久しぶりでたぎった、もうこれだけで充分である、正直分かっていないブログの評価などどうでもいい。
それ以前に私のケーブルはブログでの評価は皆無である、購入された方は星の数ほどいらっしゃる。
ただブログなどで軽い評価などして欲しくないし、総て非公開にしている、分かっていただけない評価は私にはいらないのである。
何故って?私は職人である、職人に対しがたがたものを言って来る方も稀だろう、分かった上で作っているのだから。
このブログをただ単にお遊び程度の軽いブログと思って欲しくない、本物を作るとはそう言う事である。
私は櫻井さんと出会えた、それが総ての答えだと思います。
皆さんに分かるかな?
何をどうこうすればオーディオはこうなる、そんなものは自分の経験とセンスで探せ、そんなものは何処にもない。
音楽とオーディオを分っているかいないか、ただそれだけである、因みに櫻井さんと私の意見は多分全く同じである。
オーディオを生業にして良かった。
しかし終戦の日が近付いて来る、我々日本人は少し襟を正すべきと思う。