technics SP‐10R
約四十年ぶりに復活、正直再び出会えるとは夢にも思わなかった、プラッターは真鍮を含め三層構造になり、更に慣性モーメントを稼ぐためタングステンを埋め込んでいる。
さらにはモーターはノイズ対策の為に、配置まで徹底的に考慮され、磨き抜かれた作りになっている、その素晴らしさは購入しなければ分からない。
店頭やメーカーのブースで試聴してもけっして分からないと思う、店頭やメーカーのブースは周りがうるさく、音も良くない、それ以前にデータを見ただけでその凄さが分かる。
やはり分かるか分からないか、ここがセンスである。
しかし、お断りしておく、ビンテージの王道、EMT927や930、ガラード#301や、トーレンスのTD‐124や、リン・ソンデックのLP‐12等、アイドラーやベルトドライブの音とも全く違う。
滑らかで静かな余計な震動をしない回転をするため、正確無比なサウンドである、technics純正のキャビネットやトーンアームも発売されたが、どうにも私の琴線にかかる事はなかった。
やはり合わせるキャビネットは、昔のSH‐10B3がベストだと思う、木材だけでなく石だけでもなく、金属だけでもなくである。
一番下は確かに合板だが、マス(重量)を稼ぐため黒曜石(十勝石)が使われている、そしてアームベースやターンテーブル本体は、黒曜石と一切接触しない精密な構造になっている、なので石独特なのびのない音にはならない。
誠に音に優れたキャビネットである、そしてトーンアームは、私的に日本で一番と思われるSAECのWE‐308SXをチョイスした。
届いてから二ヶ月程聴いてきたが、多分間違えてはいない、最高である、ハイエンドのような音の方向だが、デジタルの如何なるものともその音は違う。
遥かに飛び抜けた鳴りっぷりである、後はカートリッヂなどで録音年代による違いを埋めたい。
とにかくカートリッヂの特長や、トーンアームの調整の差を如実に鳴らすターンテーブルである。
使うにはかなりの覚悟が必要になるが、買わずに後悔するより、新品で購入出来るうちに購入するべしである。
それは何故か?一度人の手に渡ったものは必ず、前オーナーの変な癖みたいなものがあるからである。
それに嫌であるし、何となく気持ちが悪くスッキリしない。
届いた日、開梱していて、何ともいえない新品のいい香りがした。
「ようこそ私の元へ、待ってたよ」おもわずそう言ってしまった。
ビクともしない端正な顔立ち、あまりめんどくさくない精度のある組み立て。
余程常識から外れた人物でない限り、しっかり組み立てられると思う、購入されたお店の配達員に組み立ててもらうのでなく、ご自分で組み上げる楽しみや、セッティングの大切さを理解してほしい。
そしてとても使いやすい、性能が優れているため、大変なのは水平を確保する事位である。
高いと思うのは個人のかってだが、購入価格税込み864、000円、二十年使ったとして一日僅か118円である。
三十年使ったとして、一日約80円である、昨今の安い珈琲すら飲めない金額である。
こんな金額で果たして、これほど楽しめるものが他にあるだろうか?
私は購入するとき、高額と思う金額×使う年数と一年365日をかける、それを購入価格で割れば分かるそうして決定して来た。
実に安いものである。
日本人はみんな貧乏臭すぎる、こんなものを購入するだけの思い切った人生が私は粋で好きだ。
何の危険も感じない、寧ろこの値段からくる楽しみと、この国に生まれた幸せを感じるのである。
幸せである、購入させてくれた家内の度胸にひたすら感謝致します。
購入出来る方は多分、団塊の世代かな?夫婦で過去のアナログレコードを聴いて歌い、楽しんでみては如何?