Ortfon SPU二日目
前回は今まで使っていたDEOON DL-103の音の立ち上がりを気にして、暫く考えていたOrtfon SPUに変えたお話をした。
私のヘッドシェルはピカリングのアルミ製だ、それに昨日SPU A/Eをオリジナルシェルから外し、普通のシェルに付くように黒檀でアダプターを自作して取り付けて今日で丸一日たった、聞いてみると、昨日と違いヴァイオリンが高い所までとてもスムーズに綺麗にのびていた、これもDL-103の時には全くなかった鳴り方である、DL-103はもう少しあまく、楽器の数が増えて今からするとややこしく不明瞭、良く言えば優しい感じだった、それも確かに魅力的だったが、やはり音の品位(ここではレベルの事)はどうにもならないと思った。
SPUの音は情報量が多くても楽器の数はDL-103に比べて少なく感じる、つまり奏者の数が正確なのだ、これも私が感じていた立ち上がりに繋がると思う、こんな感じもする、演奏者との距離がSPUにはちゃんとある、DL-103だけを聞いていた時は分からないと思うが、やはりDL-103は我が家のJBLを聞く限りにおいて、非常に奏者と近いと感じるのだ、普通のJBLにありがちな鳴り方、それが嫌で私はネットワークを追い込んだ筈なのだ。
もう一つ、SPUの音は押し付けがましくない、サラリとしていて聞いてて疲れない気がする。
それでいて太く勢いもあるのだ、そこに一役かっているのは、昨日自作した黒檀のアダプターのおかげもあると思う、市販のオーディオニクスの重い金属製のアダプターの時は、曇っていて、音に開放的な爽やかさがなかった、多分黒檀のアダプターは適度な内部損失があり、余計な音を適度に抑える役目をしてるのではないか、小さいので叩いても殆ど固有の音は少ないが、やはりその音もMCヘッドアンプやフォノイコライザーに増幅されるから影響は大きいと思う、少し響きも付けてると思う、固くて木のわりには重いが、オーディオニクス(金属製のアダプター)よりは遥かに軽い、黒檀の重さはオーディオニクスの半分以下だ、木は中身が粗いので金属程は鳴かないと思う、しかしファジーに上手く鳴っている。
鳴らしていると、だんだん最低域が鳴ってきた、しかし、まだ特定出来ないが、DL-103で鳴っていた何かがなくなったのも事実だと思う、それも103の立ち上がりのせいで、余計な音を作っていたとも思える、でも何かが良くなると、別の何かを失う、これはさんざん色々なカートリッヂを使いこなしてきて分かっていたつもりだったが、暫く使っていなかったカートリッヂなので色々目覚めて来たのだろう。
SPUに交換してDL-103と決定的に違うと私が感じるのは、シンバルの厚さと、その細やかな音の量が全く違うこと、中域が肉厚で低域の立ち上がりが早く、その引き締まり方と、さっぱりした潔い重低域の沈み方とその勢い、演奏している人数の正確さである。
そして、もっと決定的な事がある、DL-103で写真にあるカルメンのビゼーを何度か聞いたが、全く上手く鳴らなくなり、聞かなくなっていた、前はあんなに頻繁に聞いていたレコードだったのに…SPUは以前の様にカルメンを楽しく聞かせてくれた、全く別世界だ!
その下の写真はジャズの米Concord CJ-51である。
DL-103よ、今まで私にたくさん教えてくれてありがとう。
やっぱり期待は裏切られなかったのでは。