遂に、実家取り壊し当日になった。
この家には、我々家族の思い出がいっぱいに詰まっている、特に私は一番多感な青春時代をここで過ごしたのである。
とにかく私は、ろくにまともな仕事にも就かず、勤めた会社はすぐに他に移った、給料が上がるからだ、そんな時代だった。休みの日には、外にもあまり出ず、ギターを大きな音で弾いたり、オーディオを聞いたりしていた。
その家がいよいよ取り壊される。二週間で完全になくなるらしい、やっぱり…ちょっと待ってと言いたくなるのは私だけだろうか、少し寂しいが、仕方がない、家族全員が幸せになるためだ、今までありがとう、でも、本当にさようならだね。