1)素線径混合リッツ線スピーカーケーブル
このリッツ線実験はラインもスピーカーケーブルも、各々に決めた同じ長さで行っている、ブログが公開される頃は更に先に進んでいる。
正直ラインケーブルよりもスピーカーケーブルは楽に作る事が出来る。
素線径混合リッツ線スピーカーケーブルはプラスに使う、マイナスは単線で、今回日本製の銅単線1.2фPEW(ポリエステル、業界ではエステル線とも言う)を一本使った、今まではウエスタン16GAブラックエナメルのNOS(ニューオールドストック)を使ったが、今回リッツ線が日本の線なのでちょっと合わせてみた。
早速ツィーターに繋いでみた、まだ半田で端末処理をしたばかりだ、しかし細やかな芯のある高域だ、ツィーターからの倍音でドライバーの音も太くなった、うんっ?これは凄い。
この先どう変わって行くのか、リッツ線スピーカーケーブルは個人的にまだ未知の世界だ、しかしネットワークからドライバーまでと、パワーアンプからネットワーク迄のリッツ線スピーカーケーブルも同じに作ってみようと思った、聞いていて興奮してきたからだ。
なぜこんなに低音迄変化したのか?
頭では少しずつ理解出来てきたがまだ公表出来ない、なぜならば、まだ突っ張った様な固さが少しあるのと、話しはネットワークや固定抵抗やスピーカーユニットの動作にまで及ぶからである、それにラインと少し違い、スピーカーケーブルはエージングに時間がかかる。
想像していた様に、スピーカーケーブルはラインケーブルの音質変化の比ではなかった、ダイレクトにハッキリ音質に差が出た、裸単線を束ねたケーブルとは全く違うジャンルである、質は少し違うが、アッテネーターを少しプラスに動かした位の差である、普通この様な音の芯や奥行きは今まで聞いてきた市販品のリッツ線では聞いた事がない、だからリッツ線は音に力がなく良くない、今までずっとそう思ってきた、それ以前に石油系の絶縁体がある、それはリッツ線なので仕方がない、多分その上から巻いた絹糸被膜の影響だろう、リッツ線のメリットは表皮効果だからだ、私はこんな音のリッツ線を今まで知らなかった、昔ヘッドシェルのリード線の絹巻きリッツ線(市販品)は使った事があったが、高価で、音に広がりはあったが、芯がなく低音が薄く引き締まらなかった。
私は、自分が作ったリッツ線にはまってしまった。
そして次の日、突っ張った様な音は消えていて、爽やかな秋の空の様に総ては澄みきっていた、多分、線の中では一本一本が細いので早く馴染んだのだろう。
まだネットワークからドライバー迄とパワーアンプからネットワーク迄は完成していないのに…特にパワーアンプからネットワーク迄のリッツ線は、かなりの差になる事は間違いないが、こればかりは作って聞いてみないと分からない、一気に音質がマイナスへ転じる事も考えられるからだ。
そして次の日、パワーアンプからネットワーク迄の素線径混合リッツ線スピーカーケーブルを次に完成させた、ここは今までウエスタンの0.6ф裸単線を四本束ねたタイプだった、マイナスはウエスタン16GA単線一本だった、今回0.08ф240本と0.12ф54本とウエスタン16GAをやはり一本マイナスへ使って平行に絹糸を巻き付けて作った、さすがにパワーアンプからネットワーク迄だ、おおもとなので、後々の事もありここだけはウエスタン16GAで決めたのだ。
エージングのCDをきいているが、正確な質量である。
私は興奮した、直ぐにマンハッタンジャズクィンテットのV・S・O・Pをかけた、まるでスーパーウーハーを追加したような太い低域が引き締まって勢いよく鳴った。
想定外だった、もっと高域の方に寄って差が出ると思っていた、しかし全体を聞くと確かに歪みは明らかに減っている、そして滑らかさも更に増した様だ、広がりは更に増えた、音の芯もしっかりしていて現代的、驚きだ!リッツ線スピーカーケーブルは低域にも効果があった。
強く鋭い音もしっかり出るが、うるさくならない、心配していた事は取り越し苦労だったのかも知れない、しなやかで空間も再現され良い音だ。
理論上いくら優れていても、耳で聞いて優れた音になるかは別のお話だ、しかし今回ただならぬ事になるのは明らかである。
そして、そこにはエージング(時間の経過による音質の変化)の問題もある事を、私自身が過去の教訓として忘れてはならない。
これからだ、一気に作ろう。