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この記事は、2018年11月7日に、FC2ブログからこちらのサイト(https://we-spirits.jp)へ
移転したものです。

オーディオケーブル。

私はケーブル屋である。
何年かの格闘の末、やっとこれだと思えるケーブルが出来た、では、なぜ私がこのようなケーブル屋になったのか。
少しお付き合いいただきたいと思う。
二十年程前、都内近郊のヴィンテージオーディオショップWに、ガラード#301を購入しに行った春先の事であった。
当時その店は今と違い狭く所狭しとオーディオが溢れていて神秘的であった。
その日はたまたま店主は休みだった、仕方がないので色々物色していると、奥の方に三人のお客がいた、なにやら元気そうに話している、そのなかに髪の長い髭をはやした背の小さな貧相な鋭い目の男がいた。
でも強烈なインパクトがあった。
耳をそばだて会話を聞いてると、物凄く詳しい、私は奥も見ようと入っていくと、急に声をかけられた、今日、M氏はいねぇよ~と、はじめは、なんだこいつ?初対面の人間に向かっていねぇよはないだろうと…私は当時、かなりとっぽかった、今もあまり変わらないが、ダンヒルのスーツにネクタイ、グリーンのバッグにオールバック。
でもその男は私に、兄ちゃん何みてんだ、と話してきた、その言い回しが不思議ととても魅力的だった。
それが有名なウエスタン研究家H氏であった。
私はガラード301を見にきたと答えた、アームは何使ってんだ?と聞くから、オルトフォンRMG309ですと答えた。
あれって後ろのウェイトの所が折れるんだよな?と言われた、確かにそれから一月、経年変化で本当に折れた。
そして後日H氏は、ケーブルを作って我が家に来られた、ハンドメイドで、とても細く固く、見るからに中域のはった良い音がしそうなケーブルだった、今までに見たこともないケーブルだ。
私は極太ケーブルが大嫌いだ、好感をもった。
ウエスタン単線に絹糸を強く巻き付けたのだと言うのだ、早速繋いで聞いてみた、ケーブルでこんなに音が変わるのは信じられない、そう思った。
それまでも確かにケーブルで音が変わるのは分かっていた、しかしその変わり方が尋常じやない。
それまでに使っていた高級ケーブルがまるでオモチャに感じた。
それからである、私はH氏を師と仰ぎ、私も同じケーブルを作る了承をやっとえて、色々教わった。
とにかくがむしゃらに作った。
指からは何度も強く巻き付ける絹糸のためにすりきれて血がでた。
しかし、師匠みたいなケーブルは簡単に出来る筈はない、それは分かっていた、十年位作り続け、かなり良いものが出来たと思い、師匠のケーブルと比べた、全くお話にならないのだ。
これを超すケーブルは同じ方法では無理だ、そう思った私は違う方向から、色々作ってみた、それから更に作ること十年、最近やっと別の意味で肩を並べる位になったのである。
私のケーブルの音の特徴は滑らかさである。
でも、やはり中身や色は違えど見た目はそっくりだ。私ははじめ、使ってるシステムや好みによって作り方やその傾向は違うのだと思っていた。
所がである、それは全くないのだ、私のケーブルを独特だと言う人がいる、そんな事はない、その人の実力にあった鳴り方をするのだと最近気付いた。
繋げた人の、音の感想を聞けば、その人が自分のシステムの何を悩んでいて、どこに不備があるのか大体は分かる様になってきた。
オーディオには実にたくさんのアイテムがある、やり方鳴らし方にも色々あるだろう、しかし私が選んだのはその中のケーブルだったわけだ。
とにかくオーディオは難しい。
何が一番大切かよく聞かれる。
答えよう!
全部だ。

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