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この記事は、2018年11月7日に、FC2ブログからこちらのサイト(https://we-spirits.jp)へ
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杉田二郎アパートメントニ○九を聞いた。

今日はオーディオと直接関係のないお話であるが。

杉田二郎(すぎたじろう)

この人の歌と名前を私がはじめて聞いたのは、高校生の時だったと思う。

君には可愛い恋人が出来たと言う。我が家のカミサンには子供が。白けた時代だね。薄っぺらな言葉だけど、友情は壊れないと、むきになってさけびたいこの頃だ。ふるさとに帰ったら、二人だけで会おうよ。手紙だけでは言えない話をしようよ。だって男どうしじゃないか、昔のように話明かそうよ。

こんな感じの歌詞ではなかっただろうか…間違えていたらすいません。《男どうし》と言う曲である。

「千葉の実家に家を建て直して来年帰るよ」と、古い悪友に伝えた。声はさすがに歳をとっていたが、先程の歌詞と似たような言葉がその友人の口からサラリと出たのである。

今の時代は、手紙やハガキのやり取りはもうなくなった。ましてや22年間私達は、一切の連絡もしなかった。それでもこのギャップのなさはなんなのだろう。

お前なんにも変わんないね…お前もな。この言葉だけで、22年間は何事もなかったかの様に埋まってしまったのだ。

来年ね…きっと元気で来年会おうね。

電話を切ったあと、懐かしさが込み上げた。そして何となく杉田二郎を聞きたくなり、聞いてみたのである。

曲を聞いていて思い出すのは。今と違い、もっと殺伐とした時代だったけど、人と人の繋がりは醒めたようだったけど、確かに色濃くあった。

そして何でもありと言いつつも、お互いに少しの遠慮と、周囲に対する恥じらいみたいな気持ちが誰にでもあったと思う。そして男には各々に、突っ張った様な粋な感じがあった。

やはり曲には、学生運動の残骸の様な考えみたいなものが、歌詞のそこかしこに出てくる。特にフォークソングはそれを感じる。

風の時代、私は勝手にそう言っている。当時の私達若者は、タンポポの種みたいに、フラフラ浮遊していたのだ。

いつか一人で、気ままな旅に出てみたい、みんなそう思っていたと思う。ある日忽然と消えて、誰も知らない土地で何年か気ままな独り暮らしをしてみたい。

そう思っていた。しかし現実はそうは甘くない、仕事もしない者に周りは冷たい態度をとる。

でも明日は明日の風が吹く、なんとかなるさ、そんな呑気な時代であった。

今はなにもかも、街もすっかり変わったけど、時代は変わっても全く変わらないものは、まだ確かにあった。残っていたと言うべきか。

私はもう過ぎ去りなくなったものを、心の中で探し。今の時代をどこかで認めているのだ。

杉田二郎の歌と声は、そんな事を私に語りかけてきた様な気がする。

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