いかなる左右非対称の部屋でも、スピーカーは前面を合わせるべきだ。
横壁からの距離や、後ろの壁からの距離は、多少部屋が非対称になっていても、スピーカーの左右は同じになっていないと、本物のパワフルな低音が出ない事が分かった。
これはお客様の部屋でも、自分の部屋でも、何度も経験してきた。新居の部屋もやはり例外ではなかった。
日本の映画、クローズゼロの、サントラ盤のCDの14曲目の激突と言う曲である。
以前の部屋では、強烈な重低音が鉄の塊のように吹っ飛んできた。ところが新居の部屋では腰砕けで、音が風の様に飛んでこない。
他に原因があるのかとも思ったが、セッティングで追い込んでみた。先ず音が左に寄っている。これを何とかしたい。
試しに左側を少し内側に振ってみた。幾分音が真ん中に集まったが今一つ。
次に、右側のスピーカーを少し手前に出した。いきなり低音が出始めた、後少し。
次に、右側のスピーカーを内側に振った。更に低音が出たが、ホーンからの音が耳に刺さりうるさい。
次に、ボックスの上のホーンだけを左右ともに、下のボックスの振りを無視して。内に振らずに真っ直ぐに向けた。よしっ!この音だ。しかしまだ定位がバラバラであった。
次に物差しで左右の内側を測った。右側のスピーカーが5㎜前に出ている事が分かった。しかし人の耳は大したものだ、しっかり聞き分けている事になる。
つまり、右側のスピーカーを左と同じ壁の距離に置いた。なかなか上手くいかなかったが何とか出来た。
激突を聞いてみた。よしっ!この音だ。凄い迫力なのに全くうるさくない。
やはり広い部屋は違う。総てがたっぷりと鳴る。
このセッティング方法を参考にしてほしい。三角形の対角線上の頂点で聞くと良いとか、そんなのは嘘っぱちである。なんの根拠もない。
斜めに向けても音はその方向へはいかないのが、このセッティングでお分かりだろう。
ようは、どうなったらどうすれば良いかを経験で分かってないと出来ない。書き留めて置いた大学ノートがまた役にたった。でもやはりオーディオはセンスである。
だいたい一時間の作業である。新居に来てから、あまりいじらず黙って聞いて来たから感じたのである。
感じるままに、体調の優れた時に一気にやると、事の他作業が早く終わる事になる。
それまでじっくり聞いていて、不満を貯めておいて。それを爆発させると言った方が早いのかも知れない。
ご参考になったら幸いである。
でもホーンツィーターのセッティングは、更にもっと困難を極める。指向性が強く、置く場所は一ヶ所しかないからである。どこかに絶対ある。