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この記事は、2018年11月7日に、FC2ブログからこちらのサイト(https://we-spirits.jp)へ
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オーディオルームが鳴り出した

この部屋に越してきて鳴らし続けてから五ヶ月経った。やっと本当に少し鳴り出してきた。しかし、オーディオとは本当に難しいものである。

新居が建ち引っ越して来たとき、そこそこに覚悟はしていたものの、最初に鳴らした音は歪んでいてエネルギーもなく、潤いもなく実に酷い音だった。

正直言うとその酷さは、オーディオをやめようと思った位だった。しかしその悲惨な鳴り方は、二週間位でなくなり整った普通の音になった。

なので意外と早く慣らしが終わったとその時は思っていた。しかしずっと感じるピアノや和楽器の耳に蓋をされたかの様な閉塞感はなかなかとれない。

それで先日、日本全国の超オーディオマニアのシステムを訪問され、研究しまくっている方にご試聴をお願いした。その方も五ヶ月経ったから平気と思っていらした。

しかし、その方は私にこう話された。「まだ部屋が駄目だね、入って鳴らしていた音を聞いて直ぐに分かった、これはやっぱり一年だね」

そして諦めて、システムの素性だけを聞いていたらしいのである。

そしてこう話された。「よくぞここまで難しいJBLをまとめたね、良く調整されてる。ネットワークをスピーカーボックスから隔離して、壁に吊った貴方の狙いは大正解。そのネットワークも狂いなく丁寧に、バランスよく出来上がっている。素性は良い、後は部屋なので見通しは明るい」との評価だった。

この評価は決してガセではない、日本中を聞き歩き、しっかりとした信念と耳と経験をお持ちの方である。

システムだけの素性ならば日本の超マニアの中で、五番以内には確実に入る。いや、三本の指の中に入るかもしれない。しかし部屋を含めたトータルとなると、今の状態では二十の指中の範囲にとどまる。こう評価が来た。

私は総てを素直に受け止めた。しかしトータルで二十の指に入っていた、これは嬉しい事だ。しかし素直に喜べる内容ではない。

それから一週間ソフトを吟味し、様々なジャンルを聞いたり、アナログを以前より大きな音量で長時間鳴らしたりしてきた。

その結果、バーンスタイン指揮のドイツグラモフォンのカルメンが随分味わい深い音になってきた。しかしテノールの声がまだやや固い。しかし、奥行きと広がりはかなり良い感じ。ジャズボーカルを聞いてサラボーンの声がまだ少し固い、もっと魅力的な声になる筈である。

ご試聴に来られた方から聞いた。45年前1968年吉祥寺にA&Fと言うジャズ喫茶が開店した。14畳程の店舗にJBLの4520が入っていた。JBL本社からは、そんな狭い空間で上手く鳴るボックスではないと言われた、駄目だと。38㎝ダブルウーハーのバックロードホーンである。カッコいい!!

開店当事そのスピーカーボックスは、日本で初めて輸入された、重すぎて大きすぎて窓を壊してやっと搬入されたらしい。さてその音であるが、実に酷い音だったと聞いた。

半年程でなんとかやっと何とか鳴り出した様である。オープンの一週間前、あまりの音の酷さにオーナーは顔が真っ青になり、オープンのチラシを配ってしまったので閉める訳にもいかず、毎日九時間うつ向いて営業していたらしい。そのA&Fは十年前に惜しまれながら廃業されたが、大音量で、実に味わい深いジャズが聞けた。

東北、一関のベイシーも土蔵が故に更に苦しんだのだろう。あのJBLも土蔵の店舗で音が完結しているのである。全く同じスピーカーを購入して、普通の家庭であの音が鳴る筈がない。

ベイシーは賛否両論ある音だが、魅力的な音故に真似をされるマニアが多いのも確かに頷ける。

「オーディオは部屋で決まる」上手く鳴らされた先人達は口を揃えて話す。それが真に分かった、新しい部屋は、なかなか感動する様な領域に入ってくれないものである。

オーディオルーム、それは正に楽器であり、スピーカーボックスの延長であり、スピーカーボックスそのものである。

しかし新居の家屋は、国が基準を決めた強固な耐震構造であり、柱も多く壁も厚くなかなかオーディオと馴染んでくれない。

それが五ヶ月目にやっと少しずつ、ゆっくりと馴染んで来ている。部屋を語らずオーディオは語れない。また、オーディオを語る時、部屋を含めないと真のオーディオは語れない。オーディオは部屋で鳴っているのである。

焦らず、色んな音をひたすら鳴らすしかない。何時か鳴るJBL4560BKのその日の為に。

ウエスタンスピリッツはNo.1になりたい。

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