アナログの音
私のカートリッヂはOrtofon SPU A/Eから外したものを、黒檀のスペーサーを作りかませて、普通のヘッドシェルに何とか取り付け、リッツ線のリード線を作り繋げたもので、針圧は3.3gである。
最近CDからの電磁波の影響を減らし、いったんはCDに負けたと思っていた。
ところがよく聞いて行くと負けたのではなく、新しい録音のCDよりは多少迫力がないだけと気が付いたのである。しかし迫力だけがオーディオではない。
一番の違いはCD独特の音の縛りである、耳にまとわりつくような音がアナログでは感じない。簡単に話すとアナログは、音が潔く爽やかである事に気が付いた。なので、長時間聞いても疲れない。
音がスピーカーからはがれた様に鳴るのである。CDの電磁波実験を終えて聞いた時、CDは、うわべだけ聞くと、まるでアナログの様に聞こえた。
しかしよくCDを何枚も聞いて行くと分かってきた。どうしても最後の最後まで鳴り切っていない事に。
スピーカーが苦しそうに鳴っている感じと表現したら良いのだろうか?耳に蓋をされた様な妙な音の鳴り方なのである。
その時アナログに取り替えて同じ曲を聞いてみると、全く鳴り方が違うのに一瞬で気が付いたのである。しかし、この気が付く、ここが大切なのである。
アナログの音には深みと前に出てくる鋭い音がありながらも、耳に刺さった様な嫌な感じが全くないのである。正に極上の音。
ここが個人的に感じたCDとアナログの差である。しかし電磁波対策を講じたCDは、確かにアナログに肉迫するのだが、やはり最後まで鳴りきる事はなかった。
しかし並みの、あまり調整されてないアナログならば、我が家のCDになんなく負けるだろう。
先ずは、それを前提に話している。これは、確かに新居の柱や壁がオーディオに馴染んで来たからだ、それも一つの原因だろう。
しかし、徹底的にエネルギーロスを少なくした数々の実験の結果が積み重なって、今の音を構築出来たのは紛れもない事実である。
本当に鳴りきった癖のないJBLの音が、どんかものなのか多分誰も聞いた事はないだろう。私はそう思う。
普通のJBLの音は打撃音が得意である、しかし、クラシックの様にこすったヴァイオリンの様な音は明るくうるさくなる。
しかしウエスタンスピリッツのJBLは、品のない音を鳴らさないのである。
ジャズを聞くと、狭い空間の中に楽器は浮かぶし、クラシックを聞くと、広がりと綺麗なホールの奥行きと雰囲気が感動的なレベルまで位置感を伴い広く膨大に鳴るのである。
特にオペラを聞いた時の圧倒的な分離感と位置感は素晴らしい。
それはアナログがやはり圧倒的である。人間臭く機械的な感じではないのである。しかしCDはいくら音質は向上しても、残念ながらそこまでは鳴らない。
アナログの音には距離感があり、CDは人工的で、その肝心な距離感はあまり感じない。強いて言えばCDは何を聞いても音がアロナログより平面的で近いのである。
ここまでやって尚、CDはアナログを越えることは未来永劫ないと個人的に思った。
それにしても今、目の前で鳴っているUSA盤のConcordの音は、なんと言う柔らかな素敵な迫力のある品位の高い感動的な音なのだろうか。
二本のスピーカーと大きなオーディオシステムは、品位を伴い、完全に私の目の前から消えた。
これがアナログである。