YAMAHA GT750乗せ換え完成
ずっと憧れの様にやってみたかった。そして今年二月に新居に越してきて七ヶ月、ウエスタンスピリッツはやっと総ての作業を終えた。一番最後の写真をご覧下さい。かなりの水平精度で完成。
遂に納得いく木材でボードを自作して、メカと回路をそっくり移植したのである。難しかった、二度とやりたくない。しかし、自己満足ではあるが、なかなか上手く出来たと思っている。
完全乗せ換えのため基盤やトランス、配線総てを外す必要がある。組み付ける時に間違えない様にノートに総て書いておいた。
基盤は総て、プラスチック製の留め具で付いていた。外せないかも知れないと思ったが、暫く見ていると何故その形になってるのか理解出来て無理なく外せた、そしてそのままの形で移植出来た。
総てホームセンターにあるギリギリの規格で揃った。偶然が何度も重なり、神懸かり的なものを感じた。
しかし、ジグソーで正確な円を切ることがこれ程難しい事とは思わなかった。ガイドを使い、ゆっくり切ってるうちに、刃の先の方が円周の内側へ曲がっていってしまうのである。ガイドが真円を描いてくれるならばこんな事はない、木ネジが外側に360°強く引っ張られる為ずれていってしまうのである。
3㎜の木ネジで中心を止めよ、と、説明書には書いてあったが、木ネジでは駄目である。通し穴をあけ裏から鬼目ナットを入れてガイドをしっかり留める必要がある。それでも多分、切りはじめと最後はずれると思う。
それを最初に分かっていたら、もう少し綺麗に出来たと思う。しかし、いつも仕事を見ていて思うが大工は凄い、目検討で一発でカットを決めてしまう。
聞いてみると、納期がギリギリで、いちいち測ってる時間がないのだそうだ。そして、1㎜と1.2㎜は全然違うのだそうだ。精度を出そうと1㎜のボルトを通し穴に通すのに、1㎜の穴では駄目なのだそうだ。1㎜のボルトを通す穴は木材の場合「1.5㎜の穴を開けよ」との事だった、つまり「0.5㎜大きく開けよ」なのである。今回正にその通りだった。
色々あったが何とか完成し電源を繋ぎ回してみた、良かったっ!ターンテーブルは、ちゃんと静かに回った。ボードに耳をあててゴロを確かめた。素晴らしい、更に静かになっている。
やはりMDFボードはオーディオには駄目である。そこに付いているターンテーブルやトーンアームや音質に絶大な影響を及ぼしているからである。
「日本のターンテーブルは音がつまらない」よく聞くご意見である。その通りだと思った。私はキチガイなのでボードに作り替えてみたが、そんな事をしなければ音が良くならない。これは情けないお話である。
しかし今回、何で私がスケルトンみたいな単なるボードとしたのか?そこが一番の問題点である。ボードと言ってもベタ置きではない。写真にあるように、凄く固い青黒檀を加工した足でしっかり4㎝程浮かせている。
アナログプレーヤーはどれも、キャビネットが箱みたいになっている。それが音をこもらせポワンポワンした音を作っている。アナログがどんなに優れてるとは言っても、それではクリアーな音になる筈がない。
少し前、恩師のトーレンス124のキャビネットを預りトーンアームを乗せ換えた。その時に気が付いたのである。
出来上がったプレーヤーを自信満々で恩師に届けると、音が甘く面白味がないと仰る。そして私はキャビネットから124を外し、本体から出ている四本のネジにチークの四角い棒をつけた。
すると弾んだ鮮やかさや音の芯が出た。開放的な爽やかで鮮やかな音になった。低音は更に下まで出て、逆に124のゴロが出てしまった。しかし音は明らかに元気になった。しかしゴロは良くない。
そして自分の使っているYAMAHAのGT750は少しのモーター音はあるものの、ゴロがない、なので似たようなものを作ってみたのである。
二日間かかった。総て組み上がり繋げて音を聞いてみた。乾いた素敵な音がする。しかし、まだアームの内部配線と、ピックアップケーブルを半田したばかりである。ここから一週間音は音質が目まぐるしく変わる。
ではなぜトーンアームのエンドに差し込むはずの端子が、ウエスタンスピリッツはないのか?であるが、エネルギーロスを減らすためウエスタンスピリッツはその5ピンの端子を外したのである。
なのでトーンアームの内部配線のリッツ線を作り、入り口からダイレクトにピックアップケーブル迄リッツ線を引き出し、直に半田で留めている為である。
これにより20ヶ所位の接点がなくなる。音の入り口は大切である。プリアンプ迄で音はほぼ決まってしまう。
しかし、すでにファーストインプレでは、太く強く芯のある感じの音で、品位と音の広がりが今までと全く違い奥が深い。そして、品があり音がゆったりしているのに音は切れが良く、早いのである。まるで響きの良いホールで聞いてる様である。
一気に数段レベルアップ出来たと思う。今までアームだけを乗せ換えて聞いていた同じターンテーブルとはとても思えない。
余裕があるので、聞いていてとても楽しい。やはりターンテーブルのキャビネットは、横も後ろも四方を囲ってはいけない。
質の良い適度な固さと重さのある木材の2.5㎝厚のものが良い、二枚三枚と木材をを重ねた積層キャビネットをよく見かけるが、あまり重ねない方が私は良いと思う。
木材そのものの音が良ければ、やはりシンプルイズベストである。余計な事はしない方が良い。
ウエスタンスピリッツのオーディオシステムは、遂に完成した。
ちゃんと人の声がする、楽器の音がする、しかしそれらは芸術的で、心臓の鼓動の様に躍動感があり生命感がある。しかし私のオーディオのやり方は情緒的ではなくどちかと言えば違う機械的な電気的な方向から進んできた。
電子はマイナスからプラスへ、電気は電子に呼び寄せられプラスからマイナスへ、そしてグランドされる。これがシンプルに行われればオーディオの音は間違いなく良くなる。
しかし音は電気的な事以外に機械的な問題がある、つまりまともに動作させなければならない。
更には音の響きがある。これら総てが三位一体となりオーディオは構築される。ならばやはり経験に裏打ちされた技術とセンスがどうしても必要になる。
私はそこを極めたかったのである。
もう暫くやる事はなくなった、かも知れない。しかし、ノイズ対策などまだまだやりたい事はあるのだが、少し休まなければ家内からそろそろ苦情が出そうである(笑)
しかし私は、真実が知りたい。オーディオはもっともっと素敵な音を音楽を奏でる筈である。
そして、それの何故?をどうしても知りたい。