音に違和感あり。
今回、YAMAHA GT750のメカや回路を総てそっくりオリジナルキャビネットから外し、拘って探した赤タモの集積材で自作したキャビネットに乗せ換え、回転系のメカもトーンアームのベアリングもメンテした、そして大成功だった。
アナログが更に高嶺に昇り、次なる違和感が出てきた。しかし今でも充分に素晴らしい。やる前も音は既に異次元だった。しかし、これで終了とは、やはりならなかった。
ウエスタンスピリッツの様に、オーディオが極限迄達した時、かならず次の違和感が出てくるものである。それを一つ一つなくしていく、それがオーディオの王道であろうと思う。
しかし少し前知り合ったお客様のご指摘、それも確かにあるのだが、私はアナログ党である。先ずはそのご指摘を解決する前にこれは最重要な事と思えた。せっかくお伝え頂いたのである、確実にそこまで昇る為である。
聞いていてノイズの様なゴロの様な、ウーンっと言う感じの音が出た。周波数にするとだいたい120~500Hz辺りだろうか。
音楽が鳴ってる時は埋もれて分からないが、感じるのは、レコードに針を落として音楽が始まる迄の数秒である。
しかしこの状態が再生音に影響しない訳はない、とても異様な音である。まるでシステムが泣いている様に聞こえる。今までも確かにあったのだが、YAMAHA GT750オリジナルのMDF材のキャビネットのおかげで、少しボケていたのだろう。それ迄がクリアーに鳴ってしまった。
ラックに耳をあて聞いてみた、そしてラックから少し離れてもその唸りの様な音は聞こえる。
プレーヤーのゴロかと思い、電源を切り、止めてみたが、その唸りは全く止まらない。
そしてやっと気が付いた、CROWNのパワーアンプDC-300Aである。アンプの電源スイッチを切ると、その音はすぐに完全に止まった。ラックに耳をあて聞いてみても何にも鳴っていない。それにしても、かなりの音量である。
対策として3㎝の四角い黒檀キューブの底に耐震グッズの売り場で購入した耐震ジェルを張り付け、それを底面にして、パワーアンプのトランスの下に二つ、前面の下に二つ敷いてみた。
ラックの外まで聞こえていた音は少し止まった。しかし唸りの周波数が多少変わっただけで、ラックに耳を当てるとまだかなり唸っている。
近々パワーアンプはラックから隔離する必要がある。それかDC-300Aのウッドケースを作ろうか。元々このアンプはウッドケースに入って販売されていた。
本体の後ろ中央に付いていているトランスは本体底面より少し高い所に付いている。なので裸のまま使用すると水平にならず、パワーアンプはかなり後ろに傾く、トランスは重いので、そこに重心がかかる。よってトランスの唸りはそのままラックに伝わる事になる。
我が家のオーディオラックは、横型で板が5㎝の厚さがあり大きい、100㎏を越える重量級なので、パワーアンプのトランスの唸りが悪い方へ増幅されたと思える。
CROWN DC-300Aは構造上、その対策の為に、ラックマウントを前面左右に付けて、ウッドのキャビネットに納める事でトランスを浮かせ、前面のラックマウント金具にネジで留める事でトランスの振動を逃がしたのだ。民生機として売り出すのにデザインを気にしての事ではないのである。
なる程と思った。元々はプロ用の為、一般の方への販売も考えデザインの為のウッドケースだと思っていた。実はちゃんとした根拠があったのである。そうでなければアメリカは合理的な考えのお国である、必要なければ面倒なラックマウントなど付ける筈がない。
ならば、プリアンプIC-150Aも同じであると私は考えた。これに気付くのに私は四年はかかっている。
ラックから隔離するにしてもウッドケースは必要である。トランスの振動から素子を守っている事も考えられる。音は更に変わる筈である。しかし私は、ウッドケースの木材に拘りたい。やはり今回アナログに使用した赤タモか黒檀かチークがバランスしそうである。
好都合にも部屋には1.5㎝厚の黒檀が数枚あるではないか(笑)測るとウッドケースの板は取れそうである。
またか…見ーつけた、遥かに音は静になり、良くなると思う。もうやるしかないね。ウエスタンスピリッツだから。
そのウッドケースの作り方にも考えは細部へ細部へ入ってきた。
しかし、オーディオはどこまで音が良くなるのだろうか。一つずつ違和感を取っていく、それがオーディオである。
しかしどうやら、トランスは本体から外した方が良さそうである。
適度な附帯音除去と合わせて、またまたやることが山積してしまった。オーディオは永遠に終わる事はないようである。