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この記事は、2018年11月7日に、FC2ブログからこちらのサイト(https://we-spirits.jp)へ
移転したものです。

アナログ再生

何度でもお話する。アナログはオーディオの迷宮、正にそのとおりだ。これだけたくさんのターンテーブルやカートリッヂの数とトーンアームやケーブルの数、そして様々なオーディオアクセサリーの種類。

いったい、どれとどれを組み合わせたら良いのか、そして、何を信じたら良いのかさっぱり分からない。それがみなさんの本音ではないだろうか。そして事実、私もかつてはそうだった。

しかし、今はもうぶれなくなった、実験結果はブレブレですが、でもそれは時間の経過で気付くので仕方がないこと、私は正直にお伝えしたいだけだ。

みなさんはただ、商品のスペックにたよっているだけ。良いものを使えば音が良くなると思っていませんか?

しかし、個人の努力で、そのものから数値どおりの、優れたスペックを引き出すのが面白いのであるが、実は、それがとても難しいのである。

昔から数々の名機が作られてきた、しかしメーカーは本当に優れたものを作ろうとしたのか?創立当時は情熱をもっていたのだろうが、答えは違うと思う。

なので総て整った完成品の他に、製品としてではなく、後に、ユニットとして色々組み合わせて個々に挑戦出来る様な商品も出現したのである。

しかし、そこにたくさんの悲劇が生まれた、そしてあり得ない様な妙な伝説がたくさんはびこった。それがたくさんの間違いを起こしている。

そしてアナログは神秘化され、様々な流派や思考の枝葉に分かれていったと思われる。メーカーがカタログで発表したスペックは、正しく正確に使った時に於て発揮されるものである。

しかし殆どは、正しく正確な使い方をされてるとはあまり思えない。これがウエスタンスピリッツの考え方である。

個々に求めるものや、設置場所やその仕方、色々な要因によって、同じものを使っても結果は全く違うものとなるのである。それをメーカーは、ひとくくりにしようとしたのである。

そして、お客様が頼りにしている経験に裏打ちされたノウハウをお持ちのプロフェッショナル達も、各々に色々な流派や枝葉に分かれ、腕をもった人達もかなり凝り固まった思考の方が多い。しかし、私も以前はそうだった。

今は、オーディオの根元が忘れ去られているが、その元になった正しいものが必ずあるはずである。

スピーカーやアナログ再生やアンプの製作者やデジタル回路に詳しい人達も、どれもあまり正確な答えを持っているとは言いにくい。

つまり思考が片寄って、強く思い込んでいるだけ。

しかし、それでは駄目だ、広く見張らせなければ正確な答えは弾き出せない。ウエスタンスピリッツはそう考えた。

凝り固まったお考えの方も、ご自分は、凝り固まっている事にすら気付いていない。しかし、駄目だと言っても分からないのだから仕方がない。

でも早く気が付いてもらいたい。私も昔はガチガチに凝り固まっていたからである。

アナログはとても広いので、分からなくて当たり前である。でも高額なものを使う事だけがオーディオじゃない。最後は貴方の腕である。

これは自慢ではない、ウエスタンスピリッツはまだまだである。しかし最近、私のアナログを聞いて感動された若者がいた。オーディオをはじめて十年位と話された。しかし、色々聞いたが、中でもウエスタンスピリッツのアナログは突出していると話した。

彼はお話のとおり、本当に凄いシステムを使っていた。この時代に、立ち上げた仕事が上手くいってお金を稼げたので。どこまでやったらオーディオは良い音が鳴るのかやってみたらしいのである。スピーカーは私とほぼ同じJBLである。

アナログプレーヤーはなんと最高級のEMT927であった。カートリッヂもオリジナルが付いていた。最高のターンテーブルである、ただしスペックだけならば。

そして、私の過去のブログを総て読んでみて、我が家に来られた。

ウエスタンスピリッツのアナログはYAMAHAのGT-750を自作のボードに乗せ換え、トーンアームをオーディオテクニカのAT-1005Ⅱに乗せ換えたものである。

しかし、彼はウエスタンスピリッツのアナログの方が数段上と話された。そして、彼のシステムも後日聞かせていただいた。

実につまらないのびやかさのない音だった。そして私は「貴方、このEMTをいくらで購入されましたか?」と聞いた。メンテなしの約束で、オリジナルイコライザー付で180万円したと答えた。確かに少し安い、そして、中を見せていただいた。

EMTとは名ばかりの、どこにでもある偽物、ニコイチ商品だった。彼は私に言った「騙されましたね」と。

そして彼は言った「ウエスタンスピリッツの真似をして、同じに作っても良いですか?」と。

構わないが、経験から多分無理だと思った。なぜそう思ったのか?ウエスタンスピリッツのキャビネットは、25㎜厚の赤タモの集積材である。しかし、タモの木が良いとは聞いた事がなかったが、集積材と言う所に心が動いた。

彼は、もっと分厚い単板の木で、自作すると話したのである。さてここが問題なのである。彼は折角ウエスタンスピリッツへご試聴に来られ、実際に聞かれ、キャビネットを見られて行った。

しかし、完全にポイントを外したのである。ボードの厚さだけに目がいってしまった様である。まだ若いのでいい経験かなと思い、彼の感性に任せてみた。

後日彼が作ったのはMDFボードの50㎜厚と連絡が来た、ウエスタンスピリッツのボードよりもかなり重いと。しかもトーンアームはSAECのWE-407/23にしたと言うのだ。アチャー!!だった。

MDFボード?私は話を聞いただけで、だいたいの想像はついていた。数日経って彼から再び連絡が入った。音に艶も元気もない鈍く暗い音だと。

その時、私はこう考えた、MDFボードは、彼が目指した響きの優れた単板の音の響きではない、そしてトーンアーム。SAECのアームは感度がとても高い。ある意味、極限である。

昔、私は506/30も308SXも使って来たが、ターンテーブルはテクニクスSP10MKⅡで、木のボードでなく、大阪ケーブルのレッドコンソールが一番バランスした。

これで分かる様に、響きの悪いMDFボードでは上手くバランスする筈がない、彼にはそう伝えた。少し努力が必要と思い、あえて彼を少し突っぱねてみたのである。

そして、赤タモの集積材25㎜厚一枚での自作を薦めた。彼の行動力は大したものである、二週間で仕事の合間に揃えて、作ってしまった様である。若いとはいえ、大した人物である。

連絡の文章から、彼がかなり興奮してるのが私に伝わってきた。当然彼の部屋からEMTは消えた。購入したより少し高値で売れた様である。

そして、ウエスタンスピリッツと同じ、オーディオテクニカのトーンアームAT-1005Ⅱに交換された様である。そう、選んだターンテーブルによって、作ったボードによって、トーンアームは全く違った動作をする、つまりトータルバランスである。

YAMAHAのGT-750オリジナルは、MDFボードのキャビネットと、グランツが製造したトーンアームが付いていて、そこがいただけない。そこさえクリアーすれば、ターンテーブル自体の精度は、静かで優れているのである。

この様にアナログはワンパターンではないが、真剣に鳴らそうとすると必ず答えは出るのである。

ウエスタンスピリッツが見つけたこの組み合わせ以外にも、無限大にアナログの優れた組み合わせは存在する。

ただ、どこをどの様に合わせたらこうなる。そのツボを経験で探すしかないのである。絶対にお店まかせにせず、ポリシーを持って探してほしい。

ウエスタンスピリッツのやり方は、改造になるので本当はあまりお薦めは出来ない。しかしこんな方法もあると、ほんの一例を呟いてみた。

しかし、オリジナルが総てではない、理解して挑めば、改造でもオリジナルを越える事がある。オーディオをコンポと例えるならば、改造と言うよりは乗せ換えである。アナログとはこんな大変な趣味である。

そしてそれを使いこなす技と経験で磨かれたセンスが必要である。これは自慢でも何でもない、ただ一人のアホな男の、音を追求した願望を込めた呟きである。

アナログの可能性は、無限大(∞)である。しかし自作ネットワークと並び、アナログもやはり、使いこなしをも含めると、地獄の一丁目である。

貴方に、しっかりした覚悟と、センスがあれば、別の方法で色々出来る筈である。しかし、キャビネットを重くするのにも程度がある。なんでも適度に、これが大切である。

難しいですよ。

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