ウエスタンスピリッツのリッツ線の内部
まだ製作中ですが、中身をある程度公開したいと思う。これ以上は文章では伝わらない。その前に、なぜこんなに時間がかかっているのかご説明したい。
過去からお付き合いのあるたくさんのお客様からご注文が来るからである。新しいリッツ線のご試聴を依頼した結果、注文が増えてしまった為です。
それと共に、今回の数々のご試聴の結果がとても良好なのです。前回迄の作り方では音質に若干意を唱える方もいらっしゃった。今回はもうぶれたくないので、その対策に追われたのである。
しかし、今回優れた素線の被膜剥離の方法を見つける事が出来た。他にもあるが、これが大きかったのである。
こんな事は実際は出来ないとは思うが、それでもウエスタンスピリッツは、総てのご試聴をいただいた方をご納得させたいのである。
では、本題に。
ウエスタンスピリッツのリッツ線の素線の径を0.12㎜ポリウレタン被膜の単線を27本、それを一つに束ねたものを0.6㎜単線とする。その外被はピンク色のナイロンで束ねたものとする。
その素線を四本、つまり108本をホットとする。そしてグランド側はポリエステル(PEW)被膜の1.6㎜単線一本とする。そして1.6㎜PEW単線の上から、絹糸9号と16号を重ねて二重巻きとする。これは隙間を無くす為である。
そして、これら二本の素線(ホットとグランド)を平行に隣合わせ、蝋引きの紐でハーネスする。しかしこれはノンシールド(シールドなし)の作り方とする。
シールドケーブルはホット側にだけ更に3M製のマスキングテープを一層強く密着させ巻く事とする。その上からホットにだけシールドを被せてある。グランドにシールドを施しても意味がないと思えるからである。
ウエスタンスピリッツのオーディオケーブルは、ラインに於てのみシールドをエンドのグランドに落とし、入り口の最後の数㎜で絶対絶縁するものとする。
では、なぜ3Mのマスキングテープを巻き付けたのか?素線であるホット側の素線の被膜は、外被はナイロン被膜だが、薄くて弱いと思われる。それと、素線の被膜はポリウレタンでポリエステルよりは強度が弱い為である。音質を保ったままホット側の強度を狙いたかった。
素線の太さと本数が決定して、メーカーにリッツ線の製造を大量に依頼したが、0.12㎜単線のポリエステル線ではリッツ線の製造が出来ないと断られた為である。本当はポリエステル線でリッツ線を作っていただきたかった。
なのでこの方法も完璧とは思えないが、3Mのマスキングテープは強度もあり、薄く質量が少なく精度もある。他のマスキングテープもたくさん試したが、3Mのマスキングテープは、ウエスタンスピリッツケーブルの音質をキープするのに実に最適だった。そして、強度だけでなく、隣り合ったグランドとの距離が適度に出来る。音に広がりが形成された。
そしてシールドケーブルは、シールドを施したホットのケーブルと絹糸を巻き付けた単線のグランドケーブルを平行に隣合わせ、パピーのピュアシルク(100%絹)の黒い糸を強く巻き付け、フィニッシュとした。この糸に、黒の色をつけてる染料素材に意味がある。
色が気に入ったから使った、そんな単純なものではない。総ては音の為である。この糸は総ての色を実際に購入して作り、その総てを実際に試した。
パピーのピュアシルクは、一般的な細い絹糸と見た目が違い、とても渋い虹の様な素敵な光沢があり、音も良いが、なかなかデザインも良いと自負している。オーディオは、やはりデザインも大切である。
音も細い絹糸だけの仕上がりと違い、重厚になった。因みに、以前は16号の細い絹糸だけで外被を仕上げていた。悪くはなかったが、見た目が貧弱だった。その見た目と同時に、音へも拘った一石二鳥を狙った対策の結果である。
そして端末処理は、市販のロックリムーバー(強力な塗膜剥離剤)を使用して、ポリウレタン被膜を剥離するものとする。ピン端子は、スイッチクラフト製で、半田で留めるものとする。
無半田の端子もたくさん存在するが、どれを試しても音は明るく薄かった。そして接点が甘く素線が抜けやすい、いくら強くしめても後に緩んでくる、その為か、音も安定せず、悪い方向へ音の変化が大きい。やはり半田で留めるのが一番とウエスタンスピリッツは思った。
各々素線に手で施した絹糸を強く巻いた方法は、今までウエスタンスピリッツが行った幾多の実験の中で、最高の被膜の方法と思われる。
総ては音の為に必要だから施した方法であり、他には一切余計な事はしていない事を申し添えておく。
他にも改造を施したり、ピン端子の余計な所を削って小さくする方法等もあるが、やはり商品としては成り立たず、確かに優れた結果だったが、使い勝手が悪く、かっこも悪く、販売したいとは思えなかった。
それ以前に、人が拘りをもって作った完成品を改造したものは、商品とは言えない。あくまでも個人の責任において行っていただきたい。ウエスタンスピリッツはその方法を否定する。
そんな事をやってるより、半田の質で音が激変する事を知ってほしい。ウエスタンスピリッツは、端子にも半田自体にも作業する半田ゴテにも、とても拘っている。ご安心していただきたい。
なお、この作り方にも、また改造の事も、ウエスタンスピリッツは一切どなたとも論ずるつもりはない。もっと優れた方法もたくさんあるだろう、ウエスタンスピリッツは総てを認めます。それが本当に良き方法ならばであるが。
妥協なく作ったリッツ線であるが、予告なく内容を変更する事もある。それが優れた方向ならばウエスタンスピリッツは何のためらいなく実行する。常に今に甘んじてる訳ではないからである。
しかしそれらは、ウエスタンスピリッツが実験した独自のものとする。ウエスタンスピリッツはどなたの真似も一切取り入れない。
総ては、素敵な貴方のオーディオライフ音の為に。