ケーブル考(外被)
ウエスタンスピリッツは、様々な方向からオーディオを見つめ、色んな対策を講じてきた。しかし、これら総ては少しでもシステムの音を標準的なまともにする事で、更に優れたオーディオケーブルを作りたいからである。
しかし、システムの音をただして、標準的なまともな音にして、本当に妥協なく違和感なく鳴らすのは、実に大変な事である。道程は遠いと言わざるを得ない。
それはなぜか?先ずは標準的な音とはどこにあるのか、これを理解しないと目標がない。ではどこで鳴ってる音が標準的な音なのか、ズバリ!大手の録音スタジオである。やはり録音してる現場が一番、標準的な音だと思う。
大手録音スタジオの音が優れてるとは言わない、スタジオの音とは無味無臭で、ある意味、とても定位などは正確だが、実につまらない味気のない音である。しかし、鳴り方は素晴らしい、ウエスタンスピリッツは、そこに狙いを定めた。
そして、世間一般的なJBL4560BK独特な鳴り方では、アメリカ的な大味で片寄った鳴り方になり、それでどんなに新しく出来上がったケーブルで試聴を繰り返しても、独特なケーブルしか作れないと個人的に常に思うからである。
しかし、どうして何年経ってもオーディオケーブルは何にも変わらないのだろうか?オーディオ雑誌を見ていていつもそう思う。
変わったのは、太さと値段だけ、なぜどこのケーブルメーカーも、外被(被膜の絶縁体)に拘らないのか不思議で仕方がない。
外被とは単に静電容量だけが問題ではない。しかし、外被の素材を探し、静電容量を研究するのは、確かに大切な事だが、どこのメーカーも、個人でケーブルを作っていらっしゃる方達も、真実には辿り着いてないのが現状でないだろうか。
外被はケーブルの響きを作るのにとても大切なアイテムである。
ただ私には、電気の理論面だけを重要視してケーブルを設計している様にしか見えないのである。確かに電子や電気の理論も必要だと思う。しかし、オーディオは交流であり、音楽を聞く為のものである以上、やはり大切なのは音である。オーディオケーブルは理論だけで優れた音質を作る事は出来ない。
ケーブルは、弦楽器の弦の様なものとご理解いたたければ、分かりやすいと思う。ケーブル自体が電磁誘導の影響で中線が動き響くのである、スピーカーからの振動も空気や床を伝わりケーブルを振動させるのである。
しかも更に、外来や高周波ノイズの影響で、ケーブルはそのアンテナになっているのも事実である。ケーブルに乗った振動や高周波ノイズをアンプが増幅してるのである。鳴り方に影響しない筈がない。なのでケーブルで音は大きくかわるのである。
ならばそれを少し見方につけよう、ウエスタンスピリッツはそう考えている。高周波ノイズも振動も、なくすことが出来ないのと、完璧に取り去る事が出来ないからである。なので個人的に、ケーブルを適度に振動させ、適度にスピーカーからの振動を抑える、これが大切と思えてならない。
石油径の外被素材は、叩いてみると分かるが、音がこもっていて、凛とした開放感がない。よく考えてみてほしい、外被の音がケーブル自体の音質になっている事を。これは何度でも話す、よーく考えてみて欲しい。分かるだろう?その外被が素線やシールドと密着してるのである。
では、ウエスタンスピリッツが外被に使っている絹糸はどうだろうか。ピンッ!とはった絹糸を指で弾くと、甘さと余計な響きの少ない、凛とした開放的な音である。そして極めて細く軽く質量が少ない。それでも絹糸の音は確かに存在するが。石油径の外被よりは数段固有の音は少ない。
だからウエスタンスピリッツは、外被である絹糸を素線に密着させる為に、手で強く巻き付けて音を作っているのである。「音よ、もっともっとかっこよく真実を伝え、遠くまで飛べ」と、そう強く願いながら一本一本気を入れて作っているのである。
そして、やっとウエスタンスピリッツのケーブルは、その願いが手に伝わり、ケーブルに伝わり、思うような音になってきたのである。
そして、これも実際に試したのだが、絹糸よりも安価なポリエステルの糸がある。でも見た目では全く同じなのだが、やはり音は絹糸を巻き付けた様に開放的にはならなかったのである。
天然素材には色々ある。一般的には綿、麻、和紙等があるが、絹糸以外で優れた外被の素材は綿であった、しかし、綿の糸は絹糸程の開放感は得られなかったが、綿もなかなかだった。
ウエスタンスピリッツは、お客様のシステムによっては、音質に重さを加える時に於て、今でも綿の糸を外被に使う事がある。音は、あまり開放的にはならないが、それが上手くバランスする事もあるからである。
しかし麻や和紙は、音が軽く明るく薄く、ケーブルの外被としては、あまりいただけない。多分、強度がなく、粗くて素線に強く密着させる事が出来ない為と思われる。素線との密着が甘いと、ホットとグランドが起こす電磁誘導の影響を適度に牛耳る事は出来ない。
天然素材でこの違いなのである。石油径の鈍い音の外被では、美しく広がった様な、開放的で綺麗な響きは絶対に望めない。電磁波以前のお話なのである。しかしどこのウエスタンスピリッツファン以外のシステムは間違いなく石油径の被膜のケーブルが繋がっている。
巷に出回っているウエスタンワイアーも外被は絹の組み紐(スリーブ状)をワックスやラッカーで引き締めたものなのだが、実は、中に石油径の被膜が施されているたいぷがある。
それを皆さんは絹巻きケーブルと思われているのだが、それはウエスタンスピリッツのワイアーとは似ても似つかないものである、うるさく音が汚く伸びやかさがない。
だから開放的な音にならないのである。メーカーには商品として発売するときに、責任があるため、厳しい電気製品の規格を通さなければならないからだろう。
ウエスタンスピリッツは規格は関係ない、商品ではなく、音質の為にだけに拘った作品だからである。よくベルデンが標準と思われてる方がいらっしゃるが、多分スタジオの標準と思われてるのだろう。ベルデンは、私も過去にけっこうお世話になったものである。
では、なぜベルデンケーブルが、スタジオに使われてるのか?それはズバリ音質がそこそこで、価格が安いからである。音が良いからではない。スタジオはとにかくバランス接続(入り口出口総てが600Ωのトランス接続)にしなければならない程ケーブルが長いのである。
オーディオはケーブルで音が決まる。ケーブルは、それが総てではないが、外被で音が決まる。
ベルデンケーブルでは、ウエスタンスピリッツのケーブルの様な、開放的で鮮やかな音ではない。
ウエスタンスピリッツのケーブルで、レンジが狭く聞こえるのは、外被の影響であり、実は絹糸の外被が本当に癖のないダイナミックレンジの広い音なのである。でも過去からの慣れで真実がわからなくなくなっているのである。
ベルデン等の石油径の外被ケーブルは、ウエスタンスピリッツのケーブルと比べると、迷走電流が発生し、音が閉塞的で薄くダイナミックレンジが広く聞こえるのは、余計な付帯音が付いた、大いなる錯覚なのである。
外被は、絶対的に絹糸が優れている。ウエスタンスピリッツは生半可な考えでケーブルを作っている訳ではない。
モニターケーブルは、今製作中である、出来上がったら必ず公開する。是非ともたくさんの方に聞いていただき、社交辞令のない、真意を問いたいと思う。
実に様々なケーブルを各社努力して製作販売しているが。ウエスタンスピリッツケーブルの絹糸外被の様な、ピュアな音質を越えるケーブルは、今のところ、存在しない筈である。