極限迄甘さのないケーブル
作ろうと思えば作る事が出来る。しかし、優れたものが実際耳で聞いてみて本当に聞きやすく良い音なのかは些か疑問である。
素線を複数を束ねたり、ホットとグランドによる電磁誘導の影響をなくそうと各々が動かない様にガチガチにしたり、ホットとグランドを離して作ってみても優れた答えはでない。
適度な甘さを作り、適度な響きを作らなければ、出来上がったケーブルは実につまらない音になる。
甘さとは響き、つまり適度な付帯音の事である。どんなケーブルにもあり、ウエスタンスピリッツのケーブルは附帯音が少ない。
以前「私は、付帯音があると聞いていられない」と話された方がいらっしゃった。しかし、「私は」である。
そんな事はない。付帯音が市販のケーブルの様に、あまりにも多すぎてはいけないが、付帯音を上手に見方につけてこそ優れた音質のケーブルは完成するのである。
付帯音をそんなに気にするならば、部屋はどうなるのだ。スピーカーボックスはどうなるのだ。部屋の音は日々変化しているし、響きのない環境で人は暮らせない。もし暮らしたとしたら多分数日で発狂するか、強いストレスになり違和感を感じる筈である。
部屋の響きは日々変化し、安定してないのである。そこにオーディオの難しさがあるとは思えないだろうか。オーディオシステムはその部屋の中にあるのである。
思考も響きも適度に自由だから、人はその環境でのびのび生きられる。
そして、嫌な事を忘れ、暫し音楽に浸れる。
極限迄、甘さのないケーブルとは、日々のたゆまぬ努力と、経験からくる間違いのない技術を磨き、センスをもって作るしかない。
いつも更に先へと。更に上へと。そんな事ばかり考えていると、私の様に眠れなくなるのは当たり前である(笑)
この世に、極限迄甘さのないケーブルは存在しない。作っても多分、響きがなくなり無機質で良い音はしないだろう。