最低音
ウエスタンスピリッツの話によく出てくる最低音とは、普通のオーディオシステムでは殆ど聞こえない。
本当に低い低音の更に更に低い低音の事です。私がどんなに人にお伝えしても聞いた事がないのか、誰にも分からないようです。
一般の方が感じてる最低音とは、250Hzを軸とした、低くても80Hz位の音なのです。なので低い音階に感じるが、実はそれは殆どが録音のトリックなのです。ブルーノートが正にそのトリックの低音です。
ウエスタンスピリッツの文章によく出てくる最低音とは、それよりも更に下の本当に低いしっかりした低音の事なのです。
人の可聴帯域は20Hzが限界と言われていますが、そこまでとはいかなくても、40Hzは再生したいと言う事です。
ウエスタンスピリッツはそれに挑んできました。ただボコボコブンブン鳴るのでなく、引き締まった低い音を鳴らしたかったのです。
しかしその道はとても険しかった。今はじめて思っていた低い最低音がウエスタンスピリッツでも鳴ったのです。しかし私は、更にその下の音階を鳴らしたい。
鳴ってみて思ったのですが、重い音ではなく以外と軽い音でした。アルテックのウーハー515が重いコーン紙で鳴らす、肥大した様な気持ちの悪い機械的な分割振動や附帯音で鳴らす鳴り方ではありません。
どこから鳴ってるのか分からないような、外で鳴ってるかの様な、包み込まれる様な、座ってる椅子ごと空気の動きに持っていかれそうな鳴り方です。
この様な鳴り方は、知り合いのTADのスピーカーシステムをお使いの方が、自作の真空管アンプで鳴らされていたのです。
その音とは、歪みがなくクリアーで、今のウエスタンスピリッツよりも更に最低音が鳴るのです。
しかし、その様な音は録音時に何かの原因でマイクと調整卓の間で起きた歪みみたいなものだろうと思っていた。
でもその音をなんとか鳴らそうと色々実験してる内に分かって来たのだが、正しい方向へ進んでいくと鳴って来たのである。ウエスタンスピリッツの場合諸悪の根元は、スピーカーボックスの下に付けたキャスターでした。
そして最低音を鳴らすには、スピーカーとの距離が必要である。狭い部屋でもある程度は鳴るのだが、特にJBLでは打撃音が目立ち、無理があるのだと思った。
これだからオーディオは難しいのである。世間にない音を鳴らすとはこういった事である。ないとは言っても現にあるのである。
ウエスタンスピリッツは、それだけではないが、最低音再生に命をかけている。