飲み会(新年会)
前回会ってから一年以上間があいた、母の事や色々ありなかなか身体があかなかった、彼とは元電気店の同じ売り場で一緒でした、彼はガスファンヒーターで私は三菱のエアコンの販売員でした、彼は今年68歳私は61歳になりますので7歳年上です。
性格も趣味も全く違う我々でしたが何となくうまがあったのです、ある日彼の方から『今日仕事が終わったら一杯行きませんか?』と誘ってくれたのです。
『前から一度一緒に飲んでみたかった!私の行きつけの店が荻窪にありますから』との事でワクワクしながら行ったのが昨日の事のようです、それから早いもので15年のお付き合いになります。
我々は仕事の時はスーツの下のスラックスにYシャツにネクタイ、上に赤いはっぴを着ていたのでお互い通勤時の服装を全く知りません、私が仕事を終え着替えて待ち合わせ場所へ行くと『ずるいなーそんなに普段からバッチリ決めた貴方だったの?』そう言われた。
私は『これが私の普段のスタイルです』とお伝えした、そうなんです私は普段からおしゃれが好きでスーツもシャツもあつらえています、よく何をしてる方なの?と聞かれます、とお伝えしました。
すると『昔新宿歌舞伎町によくいたその筋のお兄さんか、不動産屋みたいだけど久々に見るとやっぱりめちゃくちゃ格好いい』と言われました。
『どんな職業に見えますか?』と改めて聞いてみた、彼は迷わず『闇金』と応えました、当時の私は今はもういなくなった横浜愚連隊のようなスタイルでした、ネクタイは柄の浮き上がったような西陣織、長めのダブルのサイドベンツのスーツ、シャツは襟元も袖も少し長いネーム入り、ズボンの形も今流行りのタイトなものではなく裾が長めで少し広くツータック、因みにデパートを歩いていて鏡に映った自分の姿を見て『前からヤバい奴が来た』と思い下を向いてしまった事もありました(笑)
しかし彼はごく普通のスタイル『一緒に歩いていて変な事に巻き込まれたら嫌だな』位に思った筈です、しかしファッションはともかく私はオーディオケーブルの製作者、さぞやその時は驚いたと思います。
私は今はトミヒルを家内にコーディネートしてもらい普通になりましたが『貴方は何を着てもそっちの筋の人に見える、多分貴方の中から滲み出るオーラのようなもので、ファッションだけの問題ではなく普通の人は絶対に貴方にはなれない』と今でも笑って話します、今回もそうでした。
そんな感じでお付き合いが始まり今に至ります、全く噛み合わない会話になりますが何故だかしっかりと噛み合っているのです、お互いリスペクトのようなものがあり楽にお付き合いが出来ているのです。
彼はどちらかと言えば無口で、私は良く話します、しかし肝心なところでボソッと呟くように話す彼の話の内容は時に凄みがありとても為になるのです。
そんな彼は私より年上今年68歳つまり七歳も先輩でした、しかしやはり話は全く繋がらないが飲んでいて楽しかった。
『また会いたい』そう思いました、何の繋がりもないしかし楽しいのです、何がどうこうではなく理屈抜きにひたすら一緒に飲んでいて楽しいのです。
得にはなるが何にも共通点はないのですが楽しい、こんな時間必要ではないでしょうか、しかしたまにしか話さない彼の一言は今でも心にしっかりと残っているのです。
とにかく『理屈抜きで楽しかった』他に言葉はいらない。
昨日久し振りにミスター彼と盃を交わしました。長らく家庭の事情や本人の体調などの事があったので 本当に久し振りでした。以前に比べ多少恰幅も良くなり元気そうなので安心しました。ミスター彼のウイットにとんだ話しと某店の素敵な味わいの料理で酒が進む—進む。楽しい時間と楽しい酒でした。またの再会を約して家路につきました。
楽しかったです、また飲みましょう。