オールウエスタンスピリッツケーブル
去年、総てを新たなスピリッツケーブルに交換した、一カ所繋げるたびにエージングに時間をかけて、確認検証していった。
結果、音は確実に変化して行った、何時もそうですが、本当に進歩したのかそれを聴き分けなければならない。
そして、いかに過去に作ったケーブルが、未完成だったのかを再認識せざるを得なかった。
0.12ミリ被膜単線を27本、これを四本捩って束ね、合計108本としていた。
本数は検証しながら作ったのでとても優れていたが、四本捩って束ねてから、そこにマスキングテープを巻きつけていたので、出来上がりが今一つ納得いかなかった。
そしてその上からシールドを施す、その時にシールドと素線を引き締める為に、タオルでしごくのだが、下が捩った線なので、強く引き締まらなかった。
経験で理解していたのだが、シールドと素線が強く隙間なく引き締まらないと、音が散らばりカッチリした音にならないのである、エアーギャップ(隙間)が出来る為だと思った。
その件で二年程悩んでいた「そうか、0.12ミリ被膜単線108本を一本に束ねたリッツ線を特注しよう」そう思った。
しかし、無駄な事はしたくない、我が家には一種ポリエステル被膜の0.12ミリ単線がボビンごと大量にある。
正確に108本ワンセット分116ミリで切り出し、リッツ線を作ってみた、想像どうり108本は綺麗に引き締まって固く捩る事に成功した。
今回は、その時にマスキングテープを巻きつけなかった、何故かと言うと、以前のリッツ線は被膜がポリウレタンだった、ポリエステルに比べポリウレタンは被膜が弱かったからである、ポリエステル被膜ならば大丈夫と判断したからである。
そしてシールドを固く引き締め施し、導通を調べてみた、導通なしOKである。
108本束ねて固く綺麗にシンプルに作れると言う事は、シールドをかけてもしっかり引き締まる、隣にマイナス1.6ミリ単線を添えて、絶対平行でリネン(麻糸)を強く巻きつけ、作ってみた。
そして聴いてみた、間違いなくこちらが聴きやすく優れている、そのまま一週間聴いて、リッツ線屋さんへ特注したのである。
その時リッツ線屋さんは「二種ポリエステル被膜で作れます」とおっしゃったので、二種ポリエステル被膜でお願いしました。
私は「二種ポリエステル被膜は剥離出来ますか?」と確かに聞きました。
「剥離出来ます」とおっしゃったので、そのまま注文しました。
ところが出来上がった二種ポリエステル被膜は、強い剥離剤を使っても剥離出来なかったのです、しかしこれが後に功を奏します。
諦めて半田による熱での剥離をしてみました、何度も半田を色々な方法で試しましたが、ポリエステル被膜が黒く焦げて半田が染み込んでいなくて、導通が悪そうに見えました。
実際測定器で計ってもインピーダンスが安定しませんでした。
試しに黒く焦げていたポリエステル被膜を、ティッシュで拭き取ってみました、
すると焦げたポリエステル被膜は簡単に剥がれて、半田はしっかり染み込んでいたのが分かりました。
再び測定器で計ると、インーダンスは安定して低い値をさしました。
それから私はケーブルの端末処理は、半田の熱で溶かすのがベストと学んだのです。
半田の熱を与え過ぎると端末が酸化して音質が劣化する?そうかも知れないですが、総ての線が導通しない方が問題のリッツ線にとって、半田の熱による剥離はベストな端末処理の方法だと思った。
スピーカーケーブルの端末も同じ方法で作りました、間違いないと思います。
こうして完成したケーブル総てを一カ所ずつ繋ぎ、総てにスピリッツケーブルを繋ぎシステムを完成させたのです。
何の色づけもないケーブル、そんなケーブルを作りたかった、そして思った、いい音とはすでに録音されている、その邪魔をせず次の機材へ伝えるのがケーブルです。
鳴り方や音は鳴らす側が作ってはいけない、奏者と録音側が作っている、つまり既にソフトに入っている、ちゃんとやれば、オーディオは鳴るのです。
オーディオは総てが大切です、システムの設置や総てが整い、極限まで来たら分かります、ケーブルだけで音質改善は出来ませんが、やはりケーブルは確かな答えをくれたのです。
しかしスピリッツケーブルは、あなたが真に理解された時、本当の答えをくれるでしょう。
ソフトには膨大な情報量が入っている、それをあますところなく伝えたい、そんなケーブルを作ったつもりです。
聴いてみて下さい。