オーディオマニア
私はマニアと言われた途端、とても気分を害する、オーディオを始めたきっかけは、鶴見でJBL4343を十八歳ではじめて聴いた時の事だった。
私が持参した、ジミ・ヘンドリクスが弾く、ウッドストックのアメリカ国歌を聴いた時の事だった。
親に買ってもらった電蓄の音質しか知らなかった私は仰け反った、それ以前に私はずっとギター少年だった。
ジミヘンが弾いていたフェンダーのストラドキャスターと、マーシャルのユニット1(真空管ギターアンプ)を、自宅に揃え、満足して大きな音で毎日弾いていた。
レッド・ツェッペリンの狂熱のライヴや、ウッドストックの映画を何度も観て、自分はいつかこの様に弾ける、そう信じていた。
JBL4343で聴かされたジミヘンのアメリカ国家は、あまりに凄かった「こんな音は一生かけても、俺には絶対に鳴らせない」そう悟った。
聴かせていただいた方にお願いして、オーディオシステムを組んでもらった。
それからギターを弾く機会が減っていった、しかしスタートがこの状態、そうそう事は上手く行かない。
弾けないから再生側へ、世の中そんなに甘くはない、しかし次第に事は動いていく、弾いてる側と録音側の間の骨伝導の違い、これが理解出来てきた。
思った、音楽をやってる側と、録音側に大きな隔たりがある、つまり演奏している側と録音側には埋めても埋められない溝がある事を。
「これを心底理解しているのが、一流のミュージシャンだ」と、しかしミュージシャンが聴いてるオーディオシステムは、どれも独特な音だった。
過ぎて今思う、私はやはりオーディオマニアではない、ただ少しでも好きな音楽や芸術の真実を聴きたいだけ。
しかし家内を含め人はそんな私をマニアだと言う、違うと思うが、結局それがオーディオマニアなのである。
つまりそんな私はオーディオオタク?
なのかもしれない、立派なオーディオマニアだと思う。
違うだろうか?