私は閉所恐怖症
20年ほど前まだ賃貸マンションに住んでいた頃のお話しです。
お風呂から出ようとした時、ドアノブから嫌な音がしました『やってしまった』その賃貸マンションはとても古く造りがレトロだった。
少し前からドアノブが腐っていたので、完全にドアを閉めないように注意していた、その日はたまたま忘れていて普通にしめてしまったのです。
三十分程色々試してみたがビクともしない『家内が帰宅するまでまだ七時間はあるどうしよう?』窓も何にもないお風呂だった、携帯電話は当然ドアの外にある、オーディオが仕事なので工具はたくさんある。しかし総て次元の違うドアの外にある、どうする事も出来ない。
その時思った『確かにお風呂へはいるのに何にも必要ないな』だんだん過呼吸になって来た、どんなに鉄筋マンションの中で大きな声で叫んでも助けは来なかった。
その時は冬で寒かったのでシャワーを浴びて暖まろうとしてもたかがシャワーで事は足りない、再度お風呂をためる事も考えたが酸素が少なくなりそうで怖かった、そんな時に限って風呂の照明がついたり消えたりし始めた。
正に絶望的な気持ちになり良くドアを見てみて気が付いた、下の方に四角い通風孔があった、外して身体を滑り込ませようとしたが今より太っていたので腰のあたりではまってしまった、入る事は出来るがなかなか抜けない、無理矢理出ようとしたので顔や身体は傷だらけになってしまったが出られなかった。
引っかかりながらやっとの事で風呂場へ戻れた、また十分程考えていたが『ここにいたら気が狂ってしまう、大家さんには悪いが通風孔に手を突っ込みドアを壊そう』そう思い、思いっきり押すと何の事はない、ドアは簡単に壊れ真っ二つになり、外に出る事が出来た。
直ぐに血だらけのまま大家に事の顛末を話し謝った、こちらも悪いが大家さんは平謝りだった。
壊したドアは無料て新しいものへ交換してもらった、エレベーターやトイレに閉じ込められた話しは聞いた事がある、風呂も恐ろしいがトイレはもっと恐ろしいと思う。
そして私はそれから風邪をひいた時など鼻がつまるのが何より嫌だ、閉所に閉じ込められた感じになり、とても恐怖を感じます。
それから私はオーディオの音も解放感を求めるようになったのだと思う、広いところで開放的に聴いてる違和感のない鳴り方を求めるようになったのです。
なので今日は以前母と良く行った往復一万歩あるホームセンターまで歩いていく事にしました。
足腰もかなり回復しました、そろそろリハビリも兼ねてきついが歩かなければならない、そう思いました『今年最期に何かを達成したい、来たる来年からの未来の為に』そう思います。
広く開放的なところが好きな私にとって、家の中はじゅうぶんに閉所なのです。